長島型掌蹠角化症は、日本に約1万人、東アジアに数十万人の患者がいると推定され、紅斑性の過角化、掌蹠多汗症、そしてQOLを著しく低下させる独特の足の臭いが特徴とされる。慶應義塾大学の小野 紀子氏らは、掌蹠の細菌叢を調査し、外用過酸化ベンゾイルの治療効果を評価することを目的とした研究を実施。細菌叢の異常、とくにコリネバクテリウム属の過剰増殖が臭気の主な原因であること、局所塗布による過酸化ベンゾイルが有望な治療介入であることが示唆された。Journal of Investigative Dermatology誌オンライン版2025年12月1日号掲載の報告より。
本研究は、SERPINB7遺伝子変異を有し、典型的な臨床症状を呈する長島型掌蹠角化症患者32人と対照群20人のコホートを対象に実施された。手のひらおよび足の裏を含む計7ヵ所の皮膚から細菌を回収してDNAを抽出し16S rRNAの配列を調査することで、細菌の種類と量を推定した。また、長島型掌蹠角化症患者と対照群における、臭いの客観的スコアを比較した。
長島型掌蹠角化症患者においては、掌蹠皮膚に外用過酸化ベンゾイルを1日1回塗布し、治療前後のスワブ検体の臭いの客観的スコアおよび16S rRNAコピー数を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・長島型掌蹠角化症患者は、対照群と比較して臭いの客観的スコアが有意に高かった。
・長島型掌蹠角化症患者では、とくに趾間部において細菌量が増加し、微生物多様性が低下していた。コリネバクテリウムとブドウ球菌が、主に細菌叢の乱れを引き起こしていることが明らかになった。
・過酸化ベンゾイルの局所塗布は、足の臭いと細菌負荷を有意に減少・微生物多様性を増加させ、コリネバクテリウム、とくにC. tuberculostearicumの菌数を選択的に減少させた。
著者らは、サンプル数が少ないことや臭気評価が限定的であることなど本研究の限界を挙げたうえで、長島型掌蹠角化症などの遺伝性皮膚疾患における症状緩和のためのマイクロバイオーム標的療法の可能性が示されたとまとめている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)