国内における食道がんの初回標準治療は、病期や全身状態によって手術、化学放射線療法(CRT)、放射線療法が選択される。近年、切除不能例の2次治療におけるニボルマブをはじめ、免疫療法も承認されているが、CRTとの併用に関するエビデンスは限られていた。京都大学をはじめとした国内5施設において、ニボルマブ+CRTの有用性を検討するNOBEL試験によって本併用療法の安全性が確認され、完全奏効率や1年全生存(OS)率においても有望な成績が報告された。京都大学の野村 基雄氏らによる研究結果は、EClinicalMedicine誌2026年1月号に掲載された。
NOBEL試験は、多施設共同単群第II相試験で、未治療のPS 0~1の食道扁平上皮がん患者(20~75歳、切除可能・不能問わず)が登録された。治療はニボルマブ+CRT(シスプラチン+5-FU、50.4Gy照射)、それに続く最長1年間のニボルマブの維持療法であった。
主要評価項目は安全性で、Grade4以上の非血液学的毒性の発生率10%以下、Grade3以上の肺臓炎発生率15%以下と定義された。副次評価項目は完全奏効率、無増悪生存期間(PFS)、OSなどであった。治療前の生検検体において51の免疫関連遺伝子バイオマーカー解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・2019年1月~2021年9月に患者が登録され、ベースライン後の腫瘍評価を受けた41例(年齢中央値65歳、男性36例)が解析対象となった。
・Grade3以上の肺臓炎を経験した患者は5%(2/41例)で、既報から想定された頻度よりも低く、主要安全性評価項目を達成した。最も頻度の高い有害事象は食道炎、便秘、リンパ球減少であり、治療関連死亡は認められなかった。
・1年OS率は92.7%(95%信頼区間[CI]:79.0~97.6)、1年PFS率は65.4%(95%CI:48.6~77.9)であった。
・完全奏効率は73%(30/41例、95%CI:58~84%)であった。とくに切除可能例における完全奏効率は84%、1年OS率は100%に達した。
・バイオマーカー解析においては、免疫活性の高いサブタイプでは奏効率が高い傾向が見られたが、サンプルサイズが小さいため、参考データ扱いとなった。
研究者らは「食道がん初回治療において、ニボルマブとCRTの併用は実施可能であり、許容可能な安全性を示した。切除可能、不能例双方における高い完全奏効率は、この併用療法が有望な治療選択肢であることを示唆している。しかし、サンプルサイズが小さく、切除不能例の登録遅れによって試験が早期に終了したこともあり、これらの結果は予備的なものとして、慎重に解釈すべきである。臨床的意義を確立するためには、より大規模な無作為化試験を経て、結果を検証する必要がある」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)