乳児期の保湿剤使用でアトピー性皮膚炎の発症率低下、非高リスク集団ほど

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/13

 

 リスクに基づく選別を行っていない乳児集団における、アトピー性皮膚炎の1次予防を目的とした保湿剤(emollient)による介入を評価した研究はほとんどない。今回、リスクに基づく選別のない米国の代表的な乳児集団において、生後9週未満から毎日保湿剤を全身に塗布することで、生後24ヵ月時点におけるアトピー性皮膚炎の累積発症率が低下することが示された。米国・Oregon Health & Science UniversityのEric L Simpson氏らによるJAMA Dermatology誌オンライン版2025年7月23日号掲載の報告。

 研究者らは、米国の4州におけるプライマリケア診療ネットワーク(practice-based research networks)に属する25の小児科・家庭医診療所から、1,247組の乳児と保護者を対象に、プラグマティック無作為化分散型臨床試験を実施した。参加者の募集は2018年7月~2021年2月に行い、追跡調査は2023年2月までに完了した。

 乳児と保護者のペアは、1)生後9週目未満までに毎日の全身への保湿剤塗布を開始した保湿剤使用群、あるいは2)保湿剤の塗布を控える対照群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、生後24ヵ月までに患者の診療記録に記載された医師診断によるアトピー性皮膚炎の発症。参加者は3ヵ月ごとに電子アンケートに回答し、有害事象の報告やアトピー性皮膚炎診断の有無を研究チームに通知した。訓練を受けた研究コーディネーターが、参加者の診療記録から情報を抽出した。

 主な結果は以下のとおり。

・1,247人の乳児のうち、553人(44.3%)が女児で、無作為化時の平均(SD)日齢は23.9日(16.3)であった。
・24ヵ月時点でのアトピー性皮膚炎の累積発症率(SE)は、保湿剤使用群で36.1%(2.1)、対照群で43.0%(2.1)であり、相対リスク(RR)は0.84(95%信頼区間[CI]:0.73~0.97、p=0.02)であった。また、アトピー性皮膚炎の非高リスク集団では、より高い効果がみられた(RR:0.75、95%CI:0.60~0.90、p=0.01)。
・また、家庭内に犬がいる場合には保護効果が有意に増強された(RR:0.68、95%CI:0.50~0.90、p=0.01)。
・皮膚に関連する有害事象の発生率に群間差は認められなかった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)