中等度~重度の線維化を伴う代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)患者において、efruxifermin 50mg週1回投与はプラセボと比較し、96週時に線維化が改善した患者の割合が有意に高かった。米国・Houston Methodist HospitalのMazen Noureddin氏らが、米国の41施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「HARMONY試験」の96週時の評価結果を報告した。efruxiferminは、MASH治療薬として開発中の線維芽細胞増殖因子21(FGF21)アナログである。結果を踏まえて著者は、「第III相試験で、efruxiferminの有効性および安全性を評価することが望まれる」とまとめている。Lancet誌2025年8月16日号掲載の報告。
MASH悪化を伴わない線維化ステージ1段階以上の改善、96週時の結果を報告
研究グループは、生検でMASH(「非アルコール性脂肪性肝疾患活動性スコア」が4以上、かつ脂肪化、風船様変性および小葉炎症のスコアが1以上と定義)が確認され、線維化ステージF2またはF3の成人(18~75歳)患者を、efruxifermin 28mg群、同50mg群またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、週1回皮下投与した。
患者、治験担当医師、病理医、施設スタッフおよび治験依頼者は、投与群の割り付けについて盲検化された。
主要エンドポイントは、24週時のMASH悪化を伴わない線維化ステージの1段階以上の改善で、この結果はすでに報告されている。本報告では、96週時の治療終了時評価として、主要エンドポイントの最終評価と、線維化悪化を伴わないMASHの消失等について解析した。
2021年3月22日~2022年2月7日に、128例が無作為化された。このうち126例がefruxiferminまたはプラセボを少なくとも1回投与され、修正ITT解析に組み入れられた。128例中79例(62%)が女性、49例(38%)が男性であった。
96週時の改善、プラセボ群24%、efruxifermin 28mg群46%、同50mg群75%
修正ITT解析対象集団において、96週時のMASH悪化を伴わない線維化ステージが1段階以上改善した患者の割合は、プラセボ群19%(8/43例)に対し、efruxifermin 28mg群が30%(12/40例)(プラセボ群との差:12%ポイント[95%信頼区間[CI]:-6~31]、p=0.19)、同50mg群が49%(21/43例)(同31%ポイント[12~49]、p=0.0030)であった。
96週時に生検を受けた88例においては、線維化ステージが1段階以上改善した患者が、プラセボ群で34例中8例(24%)であったのに対し、efruxifermin 28mg群では26例中12例(46%)(プラセボ群との差:22%ポイント[95%CI:-1~45]、p=0.070)、同50mg群では28例中21例(75%)(同52%ポイント[31~73]、p<0.0001)に認められた。
有害事象は、efruxifermin 28mg群で40例中38例(95%)、同50mg群で43例中43例(100%)、プラセボ群で43例中42例(98%)に報告された。efruxifermin群ではプラセボ群より軽度~中等度の胃腸障害が多くみられた。いずれの群でも、薬剤誘発性肝障害や死亡の報告はなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)