血圧が良好にコントロールされている高齢高血圧患者において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)およびカルシウム拮抗薬(CCB)の長期使用は、サイアザイド系利尿薬やβ遮断薬と比較して、心血管イベントの複合アウトカムに対してより大きなベネフィットをもたらす可能性が示唆された。中国・北京協和医学院のXinyi Peng氏らは、STEP試験の事後解析として、ARB、CCB、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬という4つの降圧薬クラスに焦点を当て、それらの長期投与と心血管リスクの関連について評価した。BMC Medicine誌2025年7月1日号掲載の報告より。
本研究は、脳卒中の既往のない60~80歳の中国人高血圧患者を対象としたSTEP試験のデータを用いて実施された。追跡不能となった234例および無作為化後に血圧記録が得られなかった20例を除外し、最終的に8,257例が解析対象となった。各降圧薬クラスについて、相対的曝露期間(薬剤投与期間/イベント発生までの期間)を算出した。
主要アウトカムは、脳卒中の初回発症、急性冠症候群(ACS)、急性非代償性心不全、冠動脈血行再建術、心房細動、心血管死の複合とされた。副次アウトカムは、これら主要アウトカムの各構成要素であった。各アウトカムに対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、Cox回帰分析により算出した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値3.34年において、主要アウトカム解析の結果、ARBまたはCCBへの相対的曝露期間が長いほど、心血管複合リスクが有意に低下することが明らかになった。
・ARBへの相対的曝露期間が1単位増加するごとに、主要アウトカムのリスクは45%低下した(HR:0.55、95%CI:0.43~0.70)。CCBへの曝露においてはリスクが30%低下した(HR:0.70、95%CI:0.54~0.92)。
・利尿薬は中間的な結果を示した(HR:1.02、95%CI:0.66~1.56)。
・一方で、β遮断薬の相対的曝露期間が長いほど、主要アウトカムのリスクは有意に上昇した(HR:2.20、95%CI:1.81~2.68)。
・副次アウトカムに関しては、ARBおよびCCBの相対的曝露期間が長いほど、全死亡および心血管死のリスクが有意に低下していた。さらにARBの相対的曝露期間の長さは、脳卒中、ACS、主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連していた。
・相対的曝露期間の1単位増加当たりのHRは、主要アウトカム、MACE、脳卒中のいずれにおいても、ARBがCCBより一貫して低く(いずれもp<0.05)、より大きなベネフィットを示した。
著者らは、「本事後解析の結果は、ARBおよびCCBの長期投与が、利尿薬およびβ遮断薬と比較して、高齢の高血圧患者における複数の心血管イベントについて良好な予後と関連する可能性を示唆した。さらに、ARBはCCBよりも大きな心血管ベネフィットをもたらすことが推察された」とまとめている。一方、β遮断薬の長期投与が心血管リスクの上昇と関連を示したことについては、医学的適応による選択バイアスを反映している可能性があるとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)