重症アナフィラキシー、最もリスクの高い食品は?

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/23

 

 食物誘発性アナフィラキシーの症例 2,600 件以上を調査した研究において、喘息の病歴がある場合やピーナッツが誘因となった場合、アナフィラキシーの重症度がより高くなると予測されることが判明したという。ルーベ病院センター(フランス)のGuillaume Pouessel氏らによる本研究結果は、Clinical and Experimental Allergy誌2025年7月号に掲載された。

 研究者らは、「フランス語圏アレルギー警戒ネットワーク(Allergy-Vigilance Network)」で2002~21年に記録された食物アナフィラキシー症例を後ろ向きに解析し、Ring-Messmer分類による致命的な症例(Grade4)と重篤な症例(Grade3)と比較し、重症度が高いことに関連するリスク要因を特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・報告された2,621件の食物アナフィラキシー症例のうち、重症と判断された731件(Grade3:687件[94%]、Grade4:44件[6%])に死亡19件を加えた750件を解析対象とした。
・全体の56.1%が成人(平均年齢28.3歳)、53.7%が男性だった。
・重症例全体で頻度の高い誘因は、ピーナッツ(13.9%)、小麦(9.4%)、カシューナッツ(5.8%)、エビ(5.4%)、牛乳(4.8%)だった。
・Grade4のアナフィラキシー症例は、成人よりも小児(18歳未満)に多く発生した(18例対26例)。
・Grade4の症例はGrade3の症例と比較して、原因食物に対するアレルギー歴あり(71.1%vs.42.1%)、喘息診断あり(59.5%対30.4%)、原因食物がピーナッツ(34.1%対12.6%)である割合が高かった。
・Grade4のアナフィラキシーを予測する因子は、喘息診断あり(オッズ比[OR]:3.41、95%信頼区間[CI]:1.56~7.44)、原因食物がピーナッツ(OR:3.46、95%CI:1.28~9.34)であった。

 著者らは「本データは、重症食物アナフィラキシーのリスク因子、とくに喘息の既往歴と原因食物としてのピーナッツを特定した。これらの患者には、経口免疫療法や生物学的製剤などの個別化された管理戦略が必要となるだろう」としている。

(杉崎 真名)