FDAで承認された初の経口産後うつ病治療薬zuranolone

提供元:ケアネット

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公開日:2025/04/21

 

 産後うつ病は、世界的に重大な懸念事項となっており、ホルモンの変化、遺伝的影響、環境ストレスなど、さまざまな要因が関連しているといわれている。その標準的な治療は、これまで心理療法や抗うつ薬治療などであったが、有望な代替治療として、zuranoloneが米国食品医薬品局(FDA)より承認された。zuranoloneは、効果発現が早く、治療アクセス性の向上が期待される初の経口産後うつ病治療薬である。パキスタン・Dow University of Health SciencesのMuhammad Haris氏らは、症状緩和や患者アウトカムへの影響を考慮し、産後うつ病治療におけるzuranoloneの有効性および安全性を評価するためナラティブレビューを行った。Health Science Reports誌2025年3月2日号の報告。

 本レビューでは、産後うつ病の疫学、病態生理、治療介入に焦点を当て、産後うつ病の多面的な性質について検討した。産後うつ病、ホルモンの変化、遺伝的要因、治療法に関するキーワードを用いて、PubMed、Google Scholarなどのデータベースよりシステマティックに検索し、関連文献を特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・産後うつ病と診断された女性を対象に実施した2つの厳格な第III相試験では、zuranoloneで治療された患者は、プラセボ群と比較し、抑うつ症状の有意な改善が示された。
・その治療効果は、zuranoloneの最終投与から4週間持続しており、効果の持続性が認められた。
・zuranoloneは、治療開始後3日目の早期段階で抑うつ症状軽減に対する有意な効果が示された。
・zuranoloneは、投与の容易さ、投与量の柔軟性、早期介入の可能性などにより重度の産後うつ病の改善に期待される治療薬であると考えられる。

 著者らは「産後うつ病は、世界的に大きな課題となっており、zuranoloneの承認により改善に向かうことが期待される。従来の治療法は、依然として重要ではあるが、zuranoloneの効果発現の速さや治療アクセスの改善により、より良い治療を行うことが可能となる。しかし、授乳中女性に対する安全性および潜在的な副作用に関する懸念は依然として残っているため、さらなる研究や慎重な使用が求められる。これらを踏まえ、zuranoloneは産後うつ病患者のアウトカム改善、生活の質向上に希望をもたらすであろう」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)