ダイエットでは体重のリバウンドが常に課題となる。では、減量した体重の維持には、認知行動療法(CBT)などを活用した健康行動変容支援システム(HBCSS)は有効だろうか。この課題に対し、フィンランドのオウル大学生体医学・内科学研究ユニットのEero Turkkila氏らの研究グループは、ウェブベースのHBCSSの長期的有効性評価を目的に、2年にわたり検証を行った。その結果、12ヵ月間のHBCSS介入では、5年後の体重減少について非HBCSSよりも良好に維持することはできなかった。この結果は、International Journal of Obesity誌2025年3月15日オンライン版で公開された。
5年間の追跡では体重変化に群間差がなかった
研究グループは、合計532例の過体重または肥満(BMI27~35)の参加者を、CBTに基づくグループカウンセリング、自助ガイダンス(SHG)、通常ケアの介入強度の異なる3つのグループに分けた。これらの群はさらにHBCSS群と非HBCSS群に分けられ、HBCSSは52週間のプログラムとし、5年間追跡した。
主な結果は以下のとおり。
・HBCSS群と非HBCSS群のベースラインからの平均体重変化率と95%信頼区間[CI]は、5年後にそれぞれ1.5%(-0.02~2.9、p=0.056)、1.9%(0.3~3.3、p=0.005)だった。
・6群のうちHBCSSを用いなかったSHG群では、5年後の体重増加率が3.1%(95%CI:0.6~5.6、p=0.010)とベースラインから統計的に有意に増加したが、他の群では体重の有意な増加はみられなかった。
・5年経過時点で体重変化では群間に有意差はなかった。
・HBCSS群では、5年間で降圧薬の服用開始数が少なくなった(p=0.046)。
研究グループでは、これらの結果から「12ヵ月間のHBCSS介入群では、5年後の体重減少を非HBCSS群よりも良好に維持することはできなかった一方で、5年間を通じ有意な体重差はHBCSS群に有利であった。降圧薬の必要性が減少したことは、HBCSS群による早期からの有意な体重減少が、健康増進へレガシー効果を持ったことを示唆する」と結論付けている。
(ケアネット 稲川 進)