運転パフォーマンスに対する睡眠薬の残存効果の影響~ネットワークメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2024/03/28

 

 睡眠薬には残存効果があり、運転中の安全性に悪影響を及ぼす可能性がある。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、不眠症患者における睡眠薬の残存効果と運転パフォーマンスへの影響を明らかにするためネットワークメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2024年4月号の報告。

 2023年5月28日までに公表された、不眠症患者と健康対照者を比較した睡眠薬使用および運転に関するランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、EMBASE、TRID、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、Web Of Scienceより検索した。エンドポイントとして、車両の横位置の標準偏差(SDLP)、朝の最初の運転時における障害率を考慮した。バイアスリスクおよび不均一性(グローバル/ローカル)を測定し、エビデンスの信頼性を評価するためCINeMAを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・特定された4,805件のうち、クロスオーバーRCTをシステマティックレビューに含め、22件をネットワークメタ解析に組み入れた(健康対照者のみに焦点を当てた)。
・単回投与では、ほとんどの薬剤は運転パフォーマンスへの影響がプラセボと同様であり、SDLPについてはゾピクロンを上回っていた。
・対照的に、ラメルテオン8mg、daridorexant 100mg、就寝時のゾルピデム10mg、深夜のゾルピデム10mgおよび20mg、ミルタザピン15~30mg、トリアゾラム0.5mgは、プラセボよりも有意にパフォーマンスが悪かった。
・レンボレキサント2.5~5mg、スボレキサント15~20mg、深夜のゾルピデム3.5mgは、ゾピクロンよりも機能障害が少なかった。
・フルラゼパムを除き、反復投与(最大フォローアップ期間:10日間)により、残存効果は少なくなっていた。
・異質性および不均一性は、ほとんど認められなかった。
・エビデンスの信頼性は、「低」または「非常に低」であった。
・感度分析により、主要分析の結果が確認された。

 著者らは「FDAが承認したほとんどの睡眠薬は、承認用量において運転パフォーマンスへの影響がプラセボと同程度であり、ゾピクロンを上回っていた。15日以内の反復投与が残存効果を減少させる点については、さらなる研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)