テレワークでの育児ストレス、出社より高い

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/12/29

 

 新型コロナウイルス感染症の影響で定着した在宅勤務(テレワーク)。子供を持つ親がテレワークをした場合、健康状態や精神的健康状態はどう変化するのか。米国・シカゴのアン&ロバート H. ルリー小児病院のJohn James Parker氏らは、パンデミック中の2022年5~7月にイリノイ州シカゴの全77地区でパネル調査を行った。参加資格は、18歳以上で1人以上の子供を持つ親であることだった。本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年11月3日号にResearch Letterとして掲載された。

 主な結果は以下のとおり。

・1,060例の回答者のうち、825例がその時点で雇用されていた。599例が女性、548例がテレワークを実施していた。
・テレワークをしている親を人種で見ると、白人(244例)が黒人(99例)またはヒスパニック系(145例)よりも多かった。
・テレワークをしている親は、現場で働く親と比較して、育児ストレスのオッズが増加した(調整オッズ比[aOR]:1.88、95%信頼区間[CI]:1.20~2.93)が、健康状態(aOR:1.23、95%CI:0.78~1.93)や精神的健康の改善(aOR:1.14、95%CI:0.64~2.04)には差がなかった。
・テレワークをする父親は、現場で働く父親よりも育児ストレスが高いと報告した(aOR:2.33、95%CI:1.03~5.35)が、母親には関連はなかった(aOR:1.53、95%CI:0.93~2.49)。

 研究者らは、COVID-19パンデミック時にテレワークを行った親は、現場で働いた親と比較して育児ストレスが高いと報告しており、親、とくに父親にその傾向が顕著だった。これは育児ストレスにテレワークによるストレスが加わったり、よりストレスの多い育児状況にある親がテレワークを優先的に選択したりした可能性を示唆している。テレワークを行う親を支援する戦略、たとえば勤務スケジュールの自律性を促進することや従業員支援プログラムなどは、親と子供にとって重要な健康上の意味を持つ可能性がある、とした。

(ケアネット 杉崎 真名)