7時間以上の座位で乳がんリスク36%増/京都府立医科大

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/27

 

 日本人を対象とした大規模研究により、座っている時間が1日7時間以上だと乳がんの罹患リスクが36%上昇し、余暇の運動量・頻度や歩行時間が多くてもリスクは依然として高かったことを、京都府立医科大学の富田 仁美氏らの研究グループが明らかにした。Cancer Science誌オンライン版2023年12月2日号掲載の報告。

 日本人の乳がんの罹患原因のうち、約5%は運動不足に起因していると言われている1)。しかし、年齢や性別、筋肉量は個々人によって差があるため、適切な身体活動量を定量化することは難しい。そこで、研究グループは、座位時間と乳がん罹患との関連を明らかにするとともに、身体活動がその関連に影響を及ぼすかどうかを調査した。

 研究には、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)のデータを用いた。解析対象は35〜69歳の女性3万6,023人(平均年齢54.5歳)で、追跡期間中央値は9.4年であった。Cox比例ハザードモデルを用いて、1日の座位時間と乳がん罹患の関連におけるハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。さらに、余暇の代謝当量(METs)、余暇の運動頻度、1日の歩行時間などの関連も分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・3万6,023人のうち、1日当たりの座位時間が7時間未満だったのは21.2%、7~10時間未満は26.3%、10~13時間未満は25.3%、13時間以上は27.2%であった。
・追跡期間中に554例(1.5%)が乳がんに罹患した。
・7時間未満の集団と比較して、7時間以上の集団では乳がんの罹患リスクが有意に高かった(HR:1.36、95%CI:1.07~1.71、p=0.01)。
・座位時間が長くなるほどリスクが上がるわけではなく、7~10時間未満のHRは1.32(95%CI:1.01~1.72、p=0.043)、10~13時間未満は1.42(1.09~1.84、p=0.010)、13時間以上は1.34(1.02~1.75、p=0.035)であった。
・7時間以上の集団の乳がん罹患リスクは、余暇における1METs・時/日以上の運動(HR:1.58、95%CI:1.11~2.25、p=0.012)、週3回以上の運動(1.77、1.20~2.61、p=0.004)、1日1時間以上の歩行(1.42、1.10~1.83、p=0.007)を行っていても、7時間未満の集団よりも高かった。

 これらの結果より、研究グループは「7時間/日以上座って過ごす生活習慣は、より高い乳がんリスクと関連し、余暇の身体活動や1日の歩行時間はリスクを抑制しなかった。この所見は、座っている時間が身体活動よりも影響力のある因子である可能性を示唆している。日本人女性の乳がんリスクを低下させるためには、座位時間の短縮が必要」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)