温泉地での集中的健康管理で身体の諸指標と睡眠の質が改善

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/22

 

 最近、温泉は、リゾートとしてヨーロッパなどでは健康増進の目的で利用されている。そこで、中国・重慶医科大学公衆衛生学のYu Chen氏らの研究グループは、温泉地での慢性疾患ハイリスク者の身体検査指標と睡眠の質に対する集中的健康管理の効果を検証し、その結果を報告した。International Journal of Biometeorology誌2023年12月号に掲載。

健康介入は不眠にも効果ありか

 本研究では、慢性疾患のリスクが高いボランティア114例を介入群57例、対照群57例に分けて検証。介入群には4週間(28日間)、重慶の統景温泉で定期的な日課、バランスの取れた食事、適切な運動、的確な健康教育など、包括的な健康管理介入を行った。主なアウトカムは、身体検査指標(身長、体重、ウエスト周囲径、血圧、血中脂質、血糖値)と睡眠の質。両群とも、ベースライン時、2週後、4週後に質問票と身体検査を実施。

 主な結果は以下のとおり。

・曝露基準で分類したグループ内比較で、介入群では2週後、4週後ともにBMI、ウエスト周囲径、トリグリセライド、総コレステロール、血糖値が低下した(すべてp<0.05)。対照群では4週後にトリグリセライドのみが低下した(p<0.05)。
・グループ間比較では、BMIとウエスト周囲径は4週時点で介入群が対照群より有意に低下した(すべてp<0.05)。
・不眠症重症度指数(ISI)スコアのグループ内比較では、介入群では2週後と4週後の両方で有意な減少がみられ(すべてp<0.001)、対照群では有意な変化はみられなかった(p>0.05)。
・グループ間比較のISIスコアは、ベースラインでは対照群より介入群で有意に高かったが(p=0.006)、は2週後と4週後では対照群より有意に低くなった(すべてp<0.001)。

 以上の結果から、慢性疾患ハイリスク者で集中的健康管理を行った介入群においてBMI、ウエスト周囲径、トリグリセライド、睡眠の質を有意に改善した。

(ケアネット 稲川 進)