統合失調症患者における10年間の心血管疾患リスク

心血管疾患(CVD)は、統合失調症患者の最も頻度の高い死亡原因の1つである。トルコ・Kahta State HospitalのYasar Kapici氏らは、統合失調症患者における10年間のCVDリスクと臨床症状との関連を調査した。その結果、統合失調症患者の罹病期間、BMI、陰性症状の重症度はCVDのリスク因子である可能性が示唆された。Noro Psikiyatri Arsivi誌2023年1月13日号の報告。
対象は、統合失調症と診断された患者208例。統合失調症の症状および重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。10年後のCVDリスクの算出には、QRISK3モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者の10年間のCVDリスクは、7.4%であった。
・患者の平均健康心臓年齢(QAGE)は、53.1歳であった。
・統合失調症患者の10年間のCVDリスクと正の相関が認められた因子は、罹病期間(r=0.57)、BMI(r=0.37)、陰性症状の重症度(r=0.49)であった。
・罹病期間、BMI、陰性症状の重症度は、統合失調症患者の10年間のCVDリスクの予測因子であった。
●罹病期間:t=4.349、p<0.001
●BMI:t=2.108、p=0.037
●陰性症状の重症度:t=2.836、p=0.006
(鷹野 敦夫)
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