統合失調症における抗精神病薬使用と心臓突然死リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/07

 

 抗精神病薬で治療される統合失調症患者は、心臓突然死のリスクが高いといわれている。獨協医科大学の岡安 寛明氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬の使用と心臓突然死リスクとの関連を明らかにするため、deceleration capacity(DC)(心臓突然死の予測因子として用いられる心拍変動の指標)の低下を調査し、抗精神病薬の使用による心臓突然死リスクを、DCの評価と補正QT間隔(QTc)との関連で評価した。その結果、抗精神病薬を使用している統合失調症患者においてDCを評価することは、心臓突然死リスク増加のモニタリングおよび特定に役立つ可能性が示唆された。また、DCとQTcの両方の評価で、心臓突然死の予測精度が向上する可能性があることも報告された。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2023年1月14日号の報告。

 統合失調症患者138例のDCとQTcを測定し、年齢、性別をマッチさせた健康対照者86例と統合失調症患者86例のDCを比較した。統合失調症患者138例のDCと使用する抗精神病薬の用量の相関関係を調査するため、線形回帰分析を用いた。QT延長の有無による統合失調症患者のDCを比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・抗精神病薬を使用している統合失調症患者と健康対照者で、DCが有意に異なることが確認された。
・DCは抗精神病薬の使用(とくにクロルプロマジン、ゾテピン、オランザピン、クロザピン)と用量依存的な負の相関が認められた。
・DCとQTcとの間に有意な関連は認められなかった。

(鷹野 敦夫)