日本人統合失調症患者に対する長時間作用型抗精神病薬注射剤の有効性比較

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/01

 

 明治薬科大学のYusuke Okada氏らは、日本人統合失調症患者に対する各種長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬(アリピプラゾール、パリペリドン、リスペリドン、フルフェナジン/ハロペリドール)の有効性の比較を行った。その結果、アリピプラゾールとパリペリドンのLAIは、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、精神科入院およびLAI中止のリスクが低かった。また、アリピプラゾールLAIは、リスペリドンよりもLAI中止リスクが低いことも報告した。Schizophrenia Research誌2023年2月号の報告。

 2つのレセプトデータベースを用い、レトロスペクティブコホート研究を実施した。対象は、2015年5月~2019年11月の間にLAI抗精神病薬による治療を開始した統合失調症外来患者。精神科入院リスクとLAI中止リスクをLAI間で比較するため、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・薬剤ごとの適格基準を満たした使用開始患者数は、アリピプラゾール303例、パリペリドン124例、リスペリドン73例、フルフェナジン/ハロペリドール123例であった。
・精神科入院リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.47、95%信頼区間[CI]:0.28~0.78)とパリペリドン(HR:0.50、95%CI:0.28~0.89)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。また、リスペリドンは、アリピプラゾールおよびパリペリドンと同様の傾向が認められた。
・LAI中止リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.53、95%CI:0.35~0.80)とパリペリドン(HR:0.57、95%CI:0.35~0.92)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。
・アリピプラゾールは、リスペリドンと比較し、LAI中止リスクが有意に低かった(HR:0.56、95%CI:0.32~0.98)。

(鷹野 敦夫)