ADHDスクリーニング、親と教師の精度に関する調査

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/14

 

 注意欠如多動症(ADHD)のスクリーニング精度について、小学生の親または学校教師による違いを明らかにするため、中国・The First Hospital of Jilin UniversityのHong-Hua Li氏らは検討を行った。また、ADHDに対する親の認識や情報源に影響を及ぼす因子、ADHD陽性スクリーニング率へのそれらの影響についても併せて調査した。その結果、小学生の親と教師ではADHD症状の認識が異なっており、ADHDスクリーニング陽性率は親よりも教師において有意に高いことが明らかとなった。親のADHDの認識に影響を及ぼす因子として、親の性別・教育レベル、子供の性別・年齢・学年、ADHDに関する情報源が挙げられた。結果を踏まえ著者らは、父親、教育レベルの低い両親、小学2年生・3年生の両親においては、ADHD症状の早期認識を向上させるために、ADHDに関するより多くの知識の習得が必要であるとしている。Frontiers in Psychology誌2022年12月23日号の報告。

 2020年9月~2021年1月、中国・長春市の小学校の生徒1,118人の両親および校長24人を対象に横断的研究を実施した。データの収集には、構造化された自己記入式の質問票を用いた。調査項目には、社会人口統計学的特徴、ADHD症状スクリーニング質問票、親の認識、ADHDに関する情報源を含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・Swanson, Nolan, and Pelham Rating Scale(SNAP-IV)によるスクリーニングで陽性であった小学生は、親のバージョンで30人(2.7%)、教師のバージョンでは60人(5.4%)であった。
・親は、教師よりもADHDスクリーニング陽性率が低かった。
・ADHDに対する親の認識と関連する因子として、以下が挙げられた。
 ●母親における子供との関係 OR:1.552(95%CI:1.104~2.180)
 ●両親の大学卒業以上の学歴 OR:1.526(同:1.054~2.210)
 ●女児 OR:1.442(同:1.093~1.904)
 ●子供の年齢 OR:1.344(同:1.030~1.754)
 ●子供の学年
  小学2年生 OR:0.522(同:0.310~0.878)
  小学3年生 OR:0.388(同:0.185~0.782)
 ●ADHDに関する情報源
  医療スタッフ OR:1.494(同:1.108~2.015)
  家族、親族、友人 OR:1.547(同:1.148~2.083)
  テレビ、インターネット OR:3.200(同:2.270~4.510)

(鷹野 敦夫)