若者がADHD治療薬の使用を中止する理由

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/09

 

 注意欠如多動症(ADHD)は、成人期まで継続する可能性のある神経発達障害である。ADHD治療薬は、継続的に使用することが重要であるにもかかわらず、若者の多くは成人期にやめてしまうことが少なくない。そのため、成人期よりADHD治療薬を再開することもあり、中止が時期尚早であった可能性が示唆されている。英国・エクセター大学のDaniel Titheradge氏らは、若者がADHD治療薬を中止してしまう理由について、調査を行った。Child: Care, Health and Development誌オンライン版2022年1月31日号の報告。

 CATCh-uS(Children and Adolescents with ADHD in Transition between Children's services and adult Services)プロジェクトの定性データを用いて、ADHD治療薬の使用中止理由を調査した。若者を次の3群に分類した。(1)成人向け治療介入移行前の若者21例(2)成人向け治療介入への移行が成功した若者22例(3)小児向け治療介入離脱後、成人向け治療介入を再度受けた若者21例。対象患者には、半構造化面接を実施し、主題分析およびフレームワーク分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・ADHD治療薬の使用を中止した理由は、以下のとおりであった。
 ●薬物治療のベネフィットと副作用のバランス
 ●小児期のADHDの認識および教育障害
 ●若者の生活環境と治療介入へのアクセスの課題

 著者らは「ADHDの若者における長期的な予後やQOL改善のためには、ADHD治療薬の中止に対処するための多元的アプローチ、非薬理学的治療へのアクセスや心理教育の改善などが必要とされる。これら、若者のADHD治療薬の中止理由は、ADHD特有のものではないため、小児でみられる他の慢性疾患においても、服薬アドヒアランスと関連していると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)

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