統合失調症患者の入院および機能に対するLAI抗精神病薬の影響

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/11/22

 

 抗精神病薬のアドヒアランス不良は、統合失調症患者の再発および再入院に最も影響を及ぼす因子であり、医療費の増大や心理社会学的障害につながる可能性がある。長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用は、治療の継続性やアドヒアランス改善に有効であると考えられる。イタリア・トリノ大学のCristiana Montemagni氏らは、経口抗精神病薬(OA)からLAI抗精神病薬への切り替えによる有効性を評価するため1年間のミラーイメージ研究を実施した。その結果、再発リスクが高くアドヒアランス不良の統合失調症患者にとって、LAI使用は最適な治療選択肢である可能性が示唆されたとし、とくに社会的機能低下が認められる患者では、第2世代抗精神病薬(SGA)のLAIによる治療が理想的であることを報告した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年10月8日号の報告。

 統合失調症患者の精神科入院減少および全体の機能改善に対する、OAからLAI抗精神病薬への切り替えによる影響を評価した。SGAと第1世代抗精神病薬(FGA)のLAIのアウトカムの違いについても分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者は全体で166例であり、FGA-LAI治療患者が32.5%、SGA-LAI治療患者が67.5%であった。
・全体で、LAI切り替えの12ヵ月前と比較し切り替え12ヵ月後には、平均入院数が71%減少し、機能の全体的評定(GAF)スコアは29.3%改善した。
・SGA-LAIに切り替えた患者は、FGA-LAIに切り替えた患者と比較し、GAFスコアの有意な改善が認められた。しかし、入院に対する有意な影響は認められなかった。

(鷹野 敦夫)