COVID-19パンデミックのロックダウンと不安、うつ、自殺リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/02

 

 COVID-19パンデミックにより、世界各国でさまざまなロックダウンが行われた。このような対策はメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられるが、対策の強度とメンタルヘルスへの影響との関係については、十分に研究されていない。ギリシャ・アリストテレス大学のKonstantinos N. Fountoulakis氏らは、大規模COMET-G研究のデータを用いて、これらの関連性を調査した。その結果、ロックダウンとメンタルヘルスとの間にほぼ線形の関係が認められ、脆弱なグループの特定とより具体的なメンタルヘルス介入の必要性があらためて明らかとなった。Psychiatry Research誌オンライン版2022年7月1日号の報告。

 COVID-19パンデミック期間中に40ヵ国5万5,589人の参加者よりオンラインアンケートでデータを収集した。メンタルヘルスの評価尺度として、不安にはSTAI、うつ病にはCES-D、自殺リスクにはRASSを用いた。不快なストレス(Distress)とうつ病疑いは、すでに開発済みのカットオフ値とアルゴリズムを用いて特定した。相対リスク(RR)の算出には、ANOVA分析およびマルチプル後方ステップワイズ線形回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・参加者の内訳は以下のとおりであった。
 【女性】割合:64.85%、平均年齢:35.80±13.61歳
 【男性】割合:34.05%、平均年齢:34.90±13.29歳
 【その他】割合:1.10%、平均年齢:31.64±13.15歳
・現時点でロックダウンによる重大な制限下で生活している人の割合は、参加者の約3分の2であった。
・男女ともに、臨床的うつ病の発症リスクは、ロックダウンレベルの上昇と有意な相関が認められた(男性:RR=1.72、女性:RR=1.90)。
・ロックダウンと精神疾患歴を組み合わせた場合のRRは、6.88まで増加した。
・ロックダウンとうつ病重症度との全体的な関係に有意な差は認められなかった。

(鷹野 敦夫)