85歳以上に皮膚がんモース手術は適切か?

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/22

 

 比較的低侵襲で術後の再発率が低いことが報告されているモース手術について、米国において85歳以上の超高齢患者に対する施術を担当医が選択した理由を調べる多施設共同前向きコホート研究が行われた。モース手術を受けた高齢患者は、機能状態が高度である一方、リスクの高い腫瘍を顔面に有している割合が高いことが明らかになったという。

 今回の検討は、余命が限られている患者に対する皮膚がんのモース手術は、不必要なリスクと不快な思いが伴う可能性と、医療費を増大させる可能性があると示唆されていることを背景として行われたものであったが、結果を踏まえて著者は、「腫瘍が悪性かつ痛みを伴い、外見を損ない、そして不安を誘発する可能性があることを考慮すると、高齢患者にはタイムリーな手術治療は適切である可能性が示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。

 検討は、米国の個人診療所(private practice)と大学病院からデータを集めて行われた。解析には、85歳以上で皮膚がんに対して手術を提示され、モース手術を受けるために紹介された患者群と、参照群としてモース手術を受けた85歳未満の患者およびモース手術を受けていない85歳以上の患者が含まれた。データの解析は2018年11月~2019年1月に実施。非黒色腫皮膚がんでモース手術を受けた患者について、治療選択の理由を分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・モース手術を受けるために紹介された85歳以上の患者は、治療を受けた22施設で計1,181例であった(性別データを有する1,169例のうち男性は724例[61.9%]、年齢データを有する1,176例のうち85歳超~88歳が681例[57.9%]を占めた)。
・1,078例(91.3%)がモース手術を受け、103例(8.7%)は代替治療を受けた。
・モース手術を受けた患者は、顔面部に腫瘍を有する傾向が認められた(738例[68.5%]vs.26例[25.2%]、p<0.001)。
・また、モース手術を受けた患者は、機能状態が高度である人の割合がそうでない人と比べて、ほぼ4倍近く多かった(614例[57.0%]vs.16例[15.5%]、p<0.001)。
・外科医がモース手術を選択した明確な理由は15あり、そのうち最も多かったのは、治癒率が高い治療を患者が望んでいるから(712例[66.0%])で、患者の機能状態が年齢相当よりも良好または非常に良好であるから(614例[57.0%])、および組織学的に腫瘍のリスクが高いから(433例[40.2%])であった。

(ケアネット)