AI抵抗性進行乳がんへのフルベストラント+capivasertibがOS改善(FAKTION)/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/15

 

 アロマターゼ阻害薬(AI)抵抗性のエスロトゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行・再発乳がん患者を対象としたAKT阻害薬capivasertibの第II相FAKTION試験について、新たな解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で英国・Velindre Cancer CentreのRobert Hugh Jones氏が発表した。

 今回の発表では、全生存期間(OS)データと次世代シークエンス(NGS)などを用いたゲノムバイオマーカー解析の結果が報告された。

・対象:閉経後のER+/HER-の進行・再発の乳がん患者で、前治療としてのアロマターゼ阻害薬(AI)が無効となった患者
・試験群(Capi群):capivasertib 400mgを4日間投与3日間休薬で1日2回経口投与(28日を1サイクルとして1サイクル目の15日目から開始)+フルベストラント500mg(1サイクル目の15日目に負荷用量を追加) 69例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント500mg  71例
・評価項目:
[主要評価項目]ITT集団における無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目」ITT集団における全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路の遺伝子変異の有無別のPFS、ORR、CBR

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ(2021年11月)時点での追跡期間中央値はCapi群58.5ヵ月、プラセボ群62.3ヵ月だった。
・ITT集団におけるPFS中央値は、Capi群10.3ヵ月vs.プラセボ群4.8ヵ月、HR:0.56(95%信頼区間[CI]:0.38~0.81、p=0.002)だった。
・ITT集団におけるOS中央値は、Capi群29.3ヵ月vs.プラセボ群23.4ヵ月、HR:0.66(95%CI:0.45~0.97、p=0.035)だった。
・新たな安全性シグナルは報告されなかった。
・NGSまたはddPCR、パイロシークエンス法を用いたゲノム追加解析が実施され、PI3K変異、AKT1 E17KもしくはPTEN不活性化変異を有するサブグループ(76例)と、上記変異のないサブグループ(64例)に分けて副次評価解析が行われた。
・前回解析では上記の変異を有する患者はITT集団の42%だったの対し、追加解析の結果は54%となり、前回解析で変異なしとされた20の腫瘍(25%)で変異が確認された。
・シグナル伝達経路に変異を有するサブグループにおけるPFS中央値はCapi群12.8ヵ月vs.プラセボ群4.6ヵ月、HR:0.44(95%CI:0.26~0.72、p=0.0014)、OS中央値は38.9ヵ月vs.20.0ヵ月、HR:0.46(95%CI:0.27~0.79、p=0.005)だった。
・シグナル伝達経路に変異のないサブグループにおけるPFS中央値はCapi群7.7ヵ月vs.プラセボ群4.9ヵ月、HR:0.70(95%CI:0.40~1.25、p=0.23)、OS中央値は26.0ヵ月vs.25.2ヵ月、HR:0.86(95%CI:0.49~1.52、p=0.60)だった。

 ITT集団におけるフルベストラントへのcapivasertibの追加を支持するOSデータが示された。Jones氏は、サブグループ解析の結果、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路に遺伝子変異を有する患者におけるcapivasertib追加のベネフィットが示されたが、800例以上を対象に進行中の第III相CAPItello-291試験での解析結果が待たれるとした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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