アルツハイマー病およびMCI患者におけるCOVID-19の臨床アウトカム

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/29

 

 アルツハイマー病や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、高血圧などの共通のリスク因子を有しているといわれる。高血圧の治療においては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が頻繁に使用される。米国・ベントリー大学のYing Wang氏らは、アルツハイマー病または軽度認知障害(MCI)の患者おけるCOVID-19に対する、ACEI/ARB使用の影響について調査した。その結果、ARB使用はアルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの低下に有意な影響を及ぼしていることが報告された。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2022年4月4日号の報告。

 対象は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の検査を行った退役軍人。アルツハイマー病またはMCIを有する場合と認知障害を有さない場合におけるCOVID-19アウトカムを比較するため、古典的スコアと傾向スコアの加重ロジスティック回帰分析を実施し、ACEI/ARB使用の影響を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・アルツハイマー病と感染率および死亡率の増加との間に、統計学的に有意な関連が認められた。
・MCIは、感染のリスク因子であるとは認められなかった。
・MCIを有する患者は、臨床アウトカムが不良であった。
・ARBの使用により、アルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの有意な低下が認められたが、ACEIでは認められなかった。

 著者らは「アルツハイマー病またはMCIの患者においてCOVID-19の影響を減少させるためには、既存薬による効果を調査することが非常に重要である」としている。

(鷹野 敦夫)