3回目接種後の心筋炎、若年者での発生状況とその転帰/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/04/06

 

 とくに若い男性で、ごく稀ではあるもののmRNAワクチン接種後の心筋炎の発生が報告されている。1回目よりも2回目接種後に多い傾向が報告されているが、3回目接種後の発生率についてのデータは十分でない。イスラエル国防軍医療部隊のLimor Friedensohn氏らは、同軍の新兵における3 回目のワクチン接種と心筋炎リスクとの関連について、解析結果を報告。JAMA誌オンライン版2022年3月17日号にリサーチレターとして掲載された。

 2021年8月15日、イスラエル国防軍(IDF)は、ファイザー社のBNT162b2ワクチンによる3回目接種を開始した。本研究では、2021年9月30日までにBNT162b2の3回目接種を受け、2021年10月14日までに心筋炎と診断されたすべての軍人を対象としている。心筋炎が疑われる症例はすべて病院に紹介され、診断は、臨床検査、心電図、心エコー、心臓MRI所見に基づき行われた。すべての診断は、独立した心臓専門医によって再確認されている。集計データをもとに、ワクチン接種後1週間と2週間における心筋炎発症率を算出した。

 主な結果は以下の通り。

・12万6,029人のIDF隊員がBNT162b2ワクチンによる3回目接種を受けた。
・男性の79%、女性の90%が18~24歳だった。
・追跡期間中、9例(すべて若い男性)が心筋炎と診断された。1例はCOVID-19後に発生したため除外され、残りの8例は診断時のRT-PCR検査で陰性だった。
・4例は接種後1週間以内に、3例は接種後8~10日目、1例は接種後2週間以上経ってから症状が出た(解析からは除外)。
・全例で不整脈やうっ血性心不全の兆候はなく、軽症だった。また退院時に心臓に損傷が残っていないことも確認された。
・3回目のワクチン接種後1週間および2週間における心筋炎の発生率は、それぞれ10万回接種当たり3.17(95%CI:0.64~6.28)および5.55(95%CI:1.44~9.67)だった。
・心筋炎の症例はすべて若い男性(18~24歳)であったため、この特定の集団に対する発生率をみると、3回目のワクチン接種後1週間および2週間における心筋炎の発生率は、それぞれ10万回接種当たり6.43(95%CI:0.13~12.73)、11.25(95%CI:2.92~19.59) と推定された。

 本研究における心筋炎発生率は、同様のイスラエル軍集団における2回目のワクチン接種後1週間に観察された発生率(10万回接種当たり5.07)よりも低かった。一方で18~24歳の男性における心筋炎発生率は、フォローアップ期間や心筋炎の定義が異なるため単純な比較には注意が必要なものの、米国の男性集団で観察された値(10万回接種当たり5.243)よりも高かった。

 著者らは、本研究の限界として心筋炎と診断された症例数が少ないこと、主に若い男性が多い集団を対象としていることを挙げたうえで、3回目接種後の心筋炎リスクは2回目接種後と比較して低い可能性が示唆されたとし、この理由については今後の研究が必要としている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

[ あわせて読みたい ]