オミクロン株へのブースター接種、効果はどのくらい持続する?

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/28

 

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、12歳以上のすべての人に対し、mRNAワクチン接種完了後5ヵ月以上経過してからのブースター接種を推奨しているが、オミクロン株に対するブースター接種の効果持続についてはあまりわかっていなかった。CDCのMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2月18日号には、Jill M. Ferdinands氏からによる8施設のデータを用いたケースコントロール研究の結果が掲載されている。

ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高い

 デルタ株優位とオミクロン株優位の2つの期間に、2回目または3回目のワクチン接種を受けた18歳以上の米国成人について、COVID-19救急部/緊急治療(ED/UC)受診および入院に対するワクチン効果を検討した。ワクチン効果は、ワクチン接種患者と非接種患者のSARS-CoV-2検査陽性結果のオッズを比較し、暦週と地理的地域を条件とし、年齢、地域のウイルス循環、免疫不全の状態、追加の患者の合併症、その他の患者および施設の特徴を調整したロジスティック回帰モデルで推定した。

 3回接種者には、一般接種の3回目、または2回目接種後のブースター接種(少用量のモデルナ製を含む)を受けた人が含まれた。2021年8月26日~2022年1月22日に米国10州にわたる24万1,204件のED/UC受診と9万3,408件の入院例を分析した。

 ED/UC受診のうち、18万5,652件(77%)がデルタ優位期間、5万5,552件(23%)がオミクロン優位期間に発生した。ED/UC受診したCOVID-19様疾患患者のうち、ワクチン未接種者は46%、2回接種者は44%、ブースター接種を含む3回接種者は10%であった.ED/UC受診前の直近のワクチン接種からの間隔の中央値は、2回接種者では214日(IQR:164~259日)、3回接種者では49日(IQR:30~73)だった。

 デルタ株優位期間では、COVID-19に関連するED/UC受診に対するワクチン効果は、2回目接種後よりもブースター接種を含む3回目接種後のほうが高かったが、接種後の時間が長くなるほど減少した。ブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2ヵ月時点では97%だったが、4ヵ月目までに89%に減少した(p<0.001)。

 オミクロン株優位期間では、ブースター接種を含む3回目接種後のED/UC受診に対するワクチン効果は、2ヵ月時点では87%だったが、4ヵ月目までに66%、5ヵ月以上で31%に低下した(最後の推定値は3回目の接種後5ヵ月以上の接種者のデータが29例と少なかったため不正確)。接種後の期間が長くなるにつれ、ワクチン効果は有意に減少した(p<0.001)。入院に対するワクチン効果はブースター接種を含む3回目接種後2ヵ月時点では91%だったが、4ヵ月以上経った時点では78%に減少した。

 2回目・3回目接種の両方で、評価したすべての時点において、オミクロン優位期間のほうがデルタ株優位期間よりもワクチン効果が低いことが示された。両期間ともブースター接種を含む3回目接種後のワクチン効果は2回目接種後よりも高かったが、接種後の期間が長くなるにつれ低下した。

 著者らは「両期間において、ワクチン効果はED/UC受診に対する予防効果よりも入院に対する予防効果のほうが高かった。COVID-19に関連した入院やED/UC受診を防ぐためには、対象者は全員、推奨されるCOVID-19の予防接種を常に最新の状態にしておく必要がある」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)