新型コロナ予防接種実施の手引き(6版)を公開/厚労省

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/23

 

 厚生労働省は、12月17日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(6版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。

 今回の改訂では、武田/モデルナ社ワクチンに関する記述、他施設へのワクチンの融通、ワクチンの移送に関する記述が大幅に追加された。

主な改訂点
【第4章2(5)ア(エ) ファイザー社ワクチンをシリンジに充填して移送する場合の留意点について追記】
在宅療養患者等に対して在宅において接種を行う場合は、希釈したファイザー社ワクチンをシリンジに充填した状態で移送することを可能としているが、以下の点に留意すること。
・シリンジの充填作業は1ヵ所で行うこと。
・ワクチンを充填したシリンジは、添付文書の記載に従い、2~30℃で管理し、揺らさないよう慎重に取り扱うとともに、直射日光および紫外線が当たらないようにすること。
・希釈後は6時間以内に使用すること。
・シリンジに充填した状態のワクチンを他施設へ融通しないこと。

【第4章2(5)イ 武田/モデルナ社ワクチンの移送に関する温度の要件等について、修正】

【第4章2(6) ワクチンを別の接種施設へ融通する場合の留意事項について、武田/モデルナ社ワクチンを追加】
原則、直接配送を受ける接種実施医療機関などにおいて接種を行うこととしているとしながらも、「地域の実情やワクチンの保管期限を踏まえ、ファイザー社ワクチンおよび武田/モデルナ社ワクチンについては、直接配送を受ける接種実施医療機関などから他の医療機関に対してワクチンを分配することができる。さらに、再融通も可能であることから、直接配送を受けない接種実施医療機関などからさらに別の医療機関などに対してワクチンの分配を行うことができる」とした。
別接種施設へ融通する場合の留意事項は以下のとおり。
・移送先施設は、原則としてワクチンの分配を受ける移送元施設と同一市町村内に所在すること。
・ワクチンの管理の観点から、専任の担当者を配置して管理を厳格に行う場合には、1ヵ所の移送元施設に対する移送先施設の箇所数は、地域の実情に応じて定めることができる。それ以外の場合は、1ヵ所の移送元施設に対する移送先施設の箇所数は、数ヵ所までを目安とする。
・管理体制とワクチンの効率的使用の両面から、大規模な自治体においては接種施設1ヵか所当たりの人口が数千人を下回らないことが望ましい。ただし、高齢者施設入所者への接種や離島・へき地での接種に必要な場合については、この限りでない。
・移送先施設の施設数が増えると、端数になりうるワクチンの総量が増える可能性があるため、必要なタイミングで必要数を送る、配送の頻度を高く保ち使用量が見込みと異なった場合は次回の移送量を調整するなど、移送先でのワクチンの余剰を最小化すること。
・移送先施設などは、あらかじめ移送元施設とワクチンの分配について合意すること。
・ワクチンの分配を受ける移送元施設を変更することは、一定の条件の下で可能であるが、一時点において、複数の移送元施設からワクチンの分配を受けることはできない。
・ワクチンの移送に要する時間は原則3時間以内とし、一定の要件を満たす保冷バッグを用いて移送を行うこと(離島などの特殊な事情がある場合でも12時間を超えることはできない)。なお、国が提供する保冷バッグを用いて、途中で開閉して移送する場合は、離島などの特殊な事情がある場合でも、保冷バッグの仕様上、6時間を超えて移送することはできない。

【第4章3(8) 同一医療機関などにおいて複数種類の新型コロナワクチンを取り扱う際の留意点について追記】

【第4章3(11)、第5章1(3)、3(4)イ(ウ) コビシールドについて追記】

【第4章3(19)、第5章3(3) 接種券が届いていない追加接種対象者に対して接種を実施する場合の例外的な取扱いについて追記】
接種券を保有していない者に接種する場合は、例えば、本人確認書類などで、氏名、生年月日、住民票上の住所、連絡先などの情報を記録しておくといった工夫を行う。なお、追加接種において、接種券が届いていない追加接種対象者に対して接種を実施する場合の例外的な取扱いについては、「第5章3(3)ア 接種を実施する際の注意点」を参照すること。

【第4章9 予防接種証明書の電子交付が開始になったことに伴い修正】

【第5章1(4) 使用するワクチンの種類に武田/モデルナ社ワクチンを追加】

【第7章2(2) 武田/モデルナ社ワクチンの追加接種について追記】

 詳細は本手引きを参照いただきたい。なお、本手引きの内容は、「今後の検討状況により随時追記していくものであり、内容を変更する可能性もある」と注意を述べている。

(ケアネット 稲川 進)