日本人と米国人の認知症リスクを比較

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/17

 

 アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブでは、一般集団において日本人は米国人よりも脳のAβ負荷が有意に低いことが示唆されている。米国・ピッツバーグ大学のChendi Cui氏らは、認知機能が正常な高齢の日本人と米国人の血管疾患負荷、Aβ負荷、神経変性について比較を行うため、横断的研究を実施した。Brain Sciences誌2021年9月8日号の報告。

 日本人と米国人の対象者は、年齢、性別、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型でマッチさせた。脳血管疾患負荷は白質病変(WML)、脳Aβ負荷は11C-labeled Pittsburgh Compound B(PiB)を用いて評価した。神経変性は、海馬体積と皮質厚で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査対象は、日本人95人と米国人95人(男性の割合:50.5%、平均年齢:82歳)。
・日本人は、米国人と比較し、WMLが大きかったが、全体的なAβ standardized uptake value ratio(SUVR)、皮質厚、海馬体積に有意な違いは認められなかった。
・日本人は、腹側線条体、後帯状皮質、楔前部における局所のAβ SUVRが有意に低かった。

 著者らは「日本人と米国人では、血管疾患やAβ負荷に関して異なるプロファイルを有していることが明らかとなった。このことは、認知症発症には複数のリスク因子が関与している可能性が高いことを示唆している。さらに、日本人は米国人よりもAβ負荷が小さいため、認知症リスクが低い可能性がある。調査結果の予測精度を確認するためにも、これらコホートの長期的なフォローアップが求められる」としている。

(鷹野 敦夫)

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