2020年のがん診断数は前年比9%減、とくに早期での発見が減少/日本対がん協会

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/15

 

 2020年のがん診断件数は8万660件で、2019年より8,154件(9.2%)少なく、治療数(外科的・鏡視下的)も減ったことがわかった。おおむね早期が減る一方、進行期は両年で差が少ない傾向となり、今後進行がんの発見が増えることが懸念される。日本対がん協会は11月4日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)と共同実施したアンケート調査の結果を発表した。

2020年のがん診断数の減少で進行期のがん患者数が増加のおそれ

 アンケートは今年7~8月、全がん協会加盟施設、がん診療連携拠点病院、がん診療病院、大学病院など486施設を対象として実施。5つのがん(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)について診断数、臨床病期(1~4期、がん種によって0期も含む)、手術数、内視鏡治療数などを聞いた。大規模調査は全国初で、北海道東北、関東、中部北陸、近畿、中国四国、九州沖縄の各地域の計105施設から回答を得ている(回答率21.6%)。

 2020年の5がん種の診断数の減少幅は下記のとおり。

・胃がん:2019年1万9,470件→2020年1 万6,868件(-13.4%)
・大腸がん:2019年2 万1,975件→2020年1 万9,724件(-10.2%)
・乳がん:2019年1 万9,528件→2020年1 万7,919件(-8.2%)
・肺がん:2019年2 万3,010件→2020年2 万1,548件(-6.4%)
・子宮頸がん:2019年4,831件→2020年4,601件(-4.8%)

 がんに罹患する人の割合は2019年、2020年でほぼ変わらないと考えられるため、2019年と同じように検診や通院ができていれば発見できたがんが約9%あったと推測される。2020年のがん診断数の減少は早期が顕著なため、進行期のがん患者数の増加が心配されるほか、予後の悪化や将来的にはがん死亡率が増加するおそれもある。

(ケアネット 遊佐 なつみ)