コロナ禍で子供の神経性やせ症が増加/成育医療研究センター

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/01

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛は社会経済上、多大な負の影響を及ぼした。また、子供たちはおいては学校に登校できない、当たり前にできていた運動会や修学旅行などの学校行事の中止や延期などでつらい時間を過ごしている。こうしたCOVID-19による社会変動は、子供たちにどのような影響を及ぼしているのであろう。

 国立成育医療研究センター(理事長:五十嵐隆)は、子供の心の診療ネットワーク事業の一環で、「新型コロナウイルス感染症流行下の子供の心の実態調査」を実施。その結果を10月21日に発表した。

 この調査は、全国26医療機関が参加したもので、コロナ流行前の2019年度と比較し、2020年度では神経性食欲不振(神経性やせ症:摂食障害の1つ。極端に食事制限をしたり、過剰な食事後に吐き出したり、過剰な運動を行うなどして、正常体重より明らかに低い状態になる疾患)の初診外来患者数が約1.6倍、新入院者数が約1.4倍に増加していたことが判明した。

神経性やせ症が増加した一方で病床が足りない

 本調査はコロナ禍の子供の心の実態調査を把握するため、2021年4月30日~6月30日に実施。子供の心の診療ネットワーク事業の全国26医療機関にアンケートを送付し、20歳未満の患者について回答を得たものを解析・集計した。

 調査結果のポイントは下記の通り。

・コロナ禍で、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加
・子供の心の診療ネットワーク事業拠点病院から、コロナ禍で神経性痩せ症の患者が重症化し、入院期間が延びているとの報告があった
・一方で、摂食障害の患者のための病床数が不足していることがわかった。摂食障害の病床充足率について回答があった5施設の内、4施設で病床使用率が増加し、充足率(現時点で摂食障害で入院している患者数/摂食障害の入院治療のために利用できる病床数×100)が200%を超える施設が2施設あった。摂食障害を治療できる医療機関が少ないこともあり、特定の施設に入院患者が集中していることが推測される。また、COVID-19感染者への病床数を増やしたため、摂食障害の患者の入院まで対応できなくなったことが影響している可能性も考えられる
・神経性やせ症の患者増加の背景には、緊急事態宣言や学校の休校などの生活環境の変化によるストレス、子供たちが感染対策のために家に引きこもっていること、行事などのアクティビティが中止になったこと、友達に会えないこと、COVID-19感染症への不安などがあると推測される。当センターが実施した「コロナ×こどもアンケート」の第3回調査では、回答者(6〜18歳)全体の73%に、第5回調査では76%に、何らかのストレス反応がみられた
・コロナ太り対策のダイエット特集の報道やSNSでの情報に、子供たちが影響された可能性も考えられる
・「コロナ×こどもアンケート」の第4回調査では、「あまり食欲がない、または食べ過ぎる」と回答した子供(9~18歳)が、全体の約半数だった。また、同第5回調査では、いまの自分の体型について回答者(9~18歳)全体の38%が、「太りすぎ」「太りぎみ」と思っていると回答し、48%が痩せたいと思っていると回答した。さらに、痩せるために、回答者全体の4%が「食事の量を普段の3分の2以下に減らす」、2%が「食べたものを吐く」と回答していた。これらから、「コロナ禍の子供の心の実態調査」で判明した患者数以上に、摂食障害の潜在患者や予備軍の子供がいる可能性も推測される

 以上の調査結果をうけ、「神経性やせ症患者が増加し、また入院日数も伸びていることから、入院病床数を確保することが必要であり、摂食障害を診察できる医療機関の拡充も求められる。神経性やせ症の場合、本人が病気を否認して医療機関での受診が遅れがちとなる。子供の食欲や体重の減少に家族や教育機関で気を配り、深刻な状態になる前に、まずは内科、小児科などのかかりつけの医を受診することが必要」とコメントしている。

(ケアネット 稲川 進)

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