アテゾリズマブ+化学療法の非小細胞肺がん脳転移例への効果(ATEZO-BRAIN)/WCLC2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/17

 

 脳転移はがんの合併症として多くみられ、治療やQOLに悪影響をおよぼす。

 世界肺癌学会(WCLC2021)では、脳転移を有する非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブの効果と安全性を評価する第II相試験ATEZO-BRAINが発表された。その結果、アテゾリズマブ+化学療法の脳転移を有する非小細胞肺がんへの有用性が示唆されている。

アテゾリズマブと化学療法併用は脳転移病変未治療の非小細胞肺がんに有用

対象:脳転移病変未治療の非小細胞肺がん(PD-L1発現問わず、ステロイド[デキサメタゾン4mg以下/日]は許容)
介入:アテゾリズマブ(1,200mg)+ペメトレキセド(500mg/m2)+カルボプラチン(ACU5 ) 3週ごと4~6サイクル→アテゾリズマブ+ペメトレキセドを疾患進行まで、または最大2年間投与
主要評価項目:治験担当医評価の無増悪生存期間(PFS)、安全性
副次評価項目:奏効率(ORR)、奏効期間、全生存期間(OS)、QOLなど

 脳転移を有する非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブの効果と安全性を評価する第II相試験ATEZO-BRAINの主な結果は以下のとおり。

・40例が対象として登録された。
・患者の年齢中央値は62.6歳、男性72.5%、腺がんが97.5%を占めた。
・有効性評価対象は24例、安全性評価対象は11例であった。
・PFS中央値は8.9ヵ月、18ヵ月PFS率は24.9%であった。
・頭蓋内PFS中央値は6.9ヵ月、18ヵ月頭蓋内PFS率は10.4%であった。
・OS中央値は13.6ヵ月、2年OS率は32%であった。
・Grade3/4の有害事象は27.5%、頻度が高いものは、疲労感、貧血、息切れ、悪心であった。

 アテゾリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)併用は、脳転移病変未治療の非小細胞肺がんに対して、良好な効果と安全性を示した。脳画像イメージと血液サンプルの関係を調べる試験が進行中である。

(ケアネット 細田 雅之)