BRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術前talazoparib、単剤でpCR45.8%(NEOTALA)/ASCO2021

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/06/14

 

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前のtalazoparib単剤投与が、良好なpCR率を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer Keating Litton氏が、第II相NEOTALA試験の早期解析結果を発表した。

 本試験は、非無作為化、単群の多施設共同非盲検試験。gBRCA変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前補助療法としてのtalazoparibの有効性と安全性の評価を目的に実施された。

・対象:gBRCA変異を有するHER2陰性早期進行乳がん患者 61例
・試験群:talazoparib(1mg/日、中等度腎機能障害がある場合0.75mg/日)を24週経口投与
・評価コホート:
[評価対象集団]治療開始時に処方されたtalazoparibについて80%以上の投与を受け、乳房手術と病理学的完全奏効(pCR)評価を受けた患者およびpCR評価前に進行した患者
[安全性およびITT解析集団]1回以上のtalazoparib投与を受けた全患者
・評価項目:
[主要評価項目]独立中央委員会(ICR)評価による評価対象集団におけるpCR。本試験における有効性は事後確率としてのpCR>45%とされた。
[副次評価項目]ICR評価によるITT集団におけるpCR、両集団における残存腫瘍量(RCB)、治験担当医評価(INV)による両集団におけるpCR、無イベント生存期間(EFS)、全生存期間(OS)、安全性など
※評価は術後に行われ、治験担当医選択による術後抗がん剤治療は可能とされた。

 主な結果は以下のとおり。

・talazoparibによる治療を受けた61例のうち、48例が評価対象集団の条件を満たした。
・ITT集団のベースライン特性は、平均年齢44.6歳、閉経前/後が59.0%/41.0%、BRCA1/BRCA2変異陽性が78.7%/21.3%、TNBCが100%、StageI/II/IIIが32.8%/44.3%/22.9%。また、扁平上皮がん1例を除き、他はすべて腺がんであった。
・ITT集団における平均治療期間は23.3週間で、90.2%の患者がtalazoparibによる治療を20週以上受けていた。平均相対的治療強度(RDI)は84.5%であった。
・ICR評価によるpCRは、評価対象集団で45.8%/ITT集団で49.2%。
・INV評価によるpCRは、評価対象集団で45.8%/ITT集団で47.5%。
・ICR評価によるRCBは、0:評価対象集団45.8%/ITT集団49.2%、I:0%/1.6%、II:31.3%/27.9%、III:0%/0%、その他:22.9%/21.3%。
・治療中に発生した有害事象は、患者の95.1%で報告された(Grade1:36.1%、Grade2:14.8%、Grade3:42.6%、Grade4:1.6%)。
・多くみられたのは疲労(Grade1:55.7%、Grade2:19.7%、Grade3:1.6%)、吐き気(Grade1:50.8%、Grade2:11.5%、Grade3:1.6%)、脱毛症(Grade1:54.1%、Grade2:3.3%)、貧血(Grade1:6.6%、Grade2:1.6%、Grade3:39.3%)。死亡例は報告されていない。

 Litton氏は、術前talazoparib単剤療法は有効であり、アントラサイクリン+タキサンベースの併用化学療法で観察された値に匹敵するpCR率を示し、一般的に忍容性は良好で、新たな安全性シグナルは確認されていないと結論づけている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

参考文献・参考サイトはこちら