コロナ禍初期のがん治療キャンセル・変更患者、3人に1人

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/11

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、がん患者にどれほど影響を与えているか。本稿では、オランダ・Netherlands Comprehensive Cancer Organisation(IKNL)のLonneke V van de Poll-Franse氏らが、コロナ禍において同国がん患者が、がん治療とフォローアップ治療(電話/ビデオ相談を含む)、ならびにウェルビーイングについてどのように認識しているかを調べ、一般健常者と比較評価した。その結果、がん患者の3人に1人がコロナ禍の最初の数週間でがん治療が変化したと報告し、長期アウトカムに関する監視が必要なことが示されたという。一方で、コロナ禍は、がん患者よりも一般健常者においてメンタルヘルスにより大きな影響を与えていることも報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

 研究グループは2020年4~5月に、オランダのPROFILES(初期治療後の患者報告アウトカムおよび生存の長期評価)レジストリに参加しているがん患者、ならびに一般健常者を対象にオンラインアンケート調査を行った。

 がん治療の変更(治療またはフォローアップの予約を延期/キャンセルまたは電話/ビデオ相談に変更)に関連する要因をロジスティック回帰分析により評価するとともに、生活の質、不安/抑うつおよび孤独に関して、患者集団ならびに患者と年齢および性別をマッチさせた健常者集団との差を回帰モデルで比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・オンラインアンケートに回答した患者は4,094例(回答率48.6%)で、回答者の背景は男性が多く(2,493例、60.9%)、平均(±SD)年齢は63.0±11.1歳であった。
・回答患者4,094例中、治療を受けたのは886例(21.7%)、フォローアップ治療を受けたのは2,725例(55.6%)であった。
・390例(10.8%)が治療またはフォローアップの予約がキャンセルとなり、治療中の886例中160例(18.1%)およびフォローアップ中の2,725例中234例(8.6%)は電話/ビデオ相談に変更された。
・全身療法、積極的監視または手術は、治療またはフォローアップの予約のキャンセルと関連していた。
・若年齢、女性、併存疾患、転移性がん、SARS-CoV-2感染の懸念、および支持療法を受けることは、電話/ビデオ相談への変更と関連していた。
・コロナ禍のため、身体的な愁訴または不安があってもすぐに連絡しなかった(一般開業医あるいは専門医/看護師に)と回答したのは、がん患者では一般開業医に連絡しなかったのが20.9%(852/4,068例)、専門医/看護師に連絡しなかったのが14.4%(585/4,068例)、健常者ではそれぞれ22.3%(218/979例)、14.7%(44/979例)であった。
・電話/ビデオ相談を受けた患者のほとんどは対面を好んだが、151/394例(38.3%)は再び電話/ビデオ相談を利用した。
・がん患者は健常者よりも、SARS-CoV-2感染を心配している人が多かった(22.4%[917/4,094例]vs.17.9%[175/977例])。
・生活の質、不安およびうつは、がん患者と健常者とで類似していたが、孤独を報告する人は健常者が多かった(7.0%[287/4,094例]vs.11.7%[114/977例]、p=0.009)。

(ケアネット)