コロナ流行した2020年上半期の超過死亡、例年より少なく/厚労省研究班調べ

2020年1~6月における国内の超過死亡は、過去3年に比べて少ないことが、厚生労働省研究班の推計で明らかになった。今年の上半期は、世界的に新型コロナウイルスの発生および感染拡大があり、超過死亡にかかわる重要なファクターと見られたが、推計値ではコロナ流行前を大きく下回った。
本調査では、2020年1~6月、例年の死亡数を基に推定される死亡数(予測死亡数の点推定)およびその95%片側予測区間(上限)と、実際の死亡数(観測死亡数)との差のレンジを週別、都道府県別に推計。データ分析には、米国疾病予防管理センター(CDC)のFarringtonアルゴリズムおよび欧州死亡率モニターのEuroMOMOアルゴリズムの2つを使用している。
全国の超過死亡の積算は、Farringtonアルゴリズムで191~4,577人、EuroMOMOアルゴリズムでは319~7,467人だった。これを過去3年の同時期と比べると、Farringtonアルゴリズムで最大1万4,779~2万6,890人、EuroMOMOアルゴリズムでは最大1万7,316~2万862人となっており、いずれの分析方法でも今年は例年を大きく下回っていた。
期間中に最も多くの超過死亡が確認されたのは4月だった(Farringtonアルゴリズム:174~2,598人、EuroMOMOアルゴリズム:298~4,216人)。両アルゴリズムにおいて、期間中に予測死亡数の上限を超える観測死亡数を認める週が検出されたのは10都府県(栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、富山、愛知、大阪、奈良、徳島)、いずれか一方で検出されたのは4県(茨城、静岡、香川、福岡)だった。
研究班は、今回観察された超過死亡は新型コロナウイルスを直接の原因とする死亡の総和ではなく、外出自粛等に伴う病院不受診や生活習慣の変化に伴う持病の悪化による死亡や、例年より減少している可能性があるとされる交通事故死など、新型コロナウイルスの感染拡大による間接的な影響も含まれていることに注意すべきとしている。その上で、「報告の遅れや、介入、社会人口学的・経済的状況が異なるため、必ずしも直接比較はできないが、日本のすべての死因を含む超過死亡は、おおよそ同時期の欧米における超過死亡よりも相対的に小さい(絶対数や対人口比)可能性がある」としている。
(ケアネット 鄭 優子)
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