超過死亡1,483万人、コロナ死の約3倍/Nature

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/27

 

 2020〜21年における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による超過死亡数は、全世界で約1,483万人にのぼることが、世界保健機構(WHO)のWilliam Msemburi氏らのグループの推計で明らかになった。この推計値は、同期間中に報告されたCOVID-19を原因とした死亡(COVID-19死)件数の約3倍に相当する。Nature誌オンライン版12月14日掲載の報告。

 2021年12月31日現在、WHOに報告されたCOVID-19の確定数は、全世界で2億8,700万人を超え、そのうち約542万人が死亡している。しかし、検査の利用しやすさ、診断能力、COVID-19死の認定方法に一貫性がないといった要因により、COVID-19が世界人口に及ぼす影響の評価には困難が伴う。そこでMsemburi氏らは、人命損失について世界規模で定量化するため、超過死亡者数を推定した。超過死亡数にはCOVID-19死の総数、必要な医療の中断などの間接的な影響による死亡の両方が含まれる。

 主な結果は以下のとおり。

・全世界の2020~21年におけるCOVID-19流行による超過死亡数(不確定区間[UI])は、1,483万人(1,323万~1,658万)であり、この推定値はCOVID-19死報告件数542万人と比較して2.74倍であった。
・全世界のCOVID-19流行による超過死亡数(UI)は、2020年が447万人(391万~507万)であったのに対し、2021年には1,036万人(906万~1,197万)に増加した。
・2020~21年の超過死亡数の多い国は、インド(474万人)、ロシア連邦(107万人)、インドネシア(103万人)、アメリカ合衆国(93万2千人)などであった。日本は2020年が-3万139人、2021年が1万668人。
・2020~21年の超過死亡率(超過死亡数/COVID-19が発生しなかったと仮定した場合の予測死亡数)の高い国は、ペルー(97%)、エクアドル(51%)、ボリビア(49%)などであった。日本は2020年が-2.13%、2021年が0.74%。
・WHOの定める6地域別の2020~21年の超過死亡率は、アメリカ22%、南東アジア22%、ヨーロッパ17%、東地中海12%、西太平洋0%であった(日本は西太平洋に所属)。

 著者らは、本研究の重要なポイントとして、以下の4点を挙げている。

・COVID-19の流行は2020~21年の期間において、全世界で1,483万人という顕著な超過死亡数をもたらした。
・COVID-19死報告件数、超過死亡数は、共に2020年よりも2021年のほうが多かった。
・超過死亡数がCOVID-19死報告件数を大きく上回った。多くの国でCOVID-19死が正確に報告されているが、正確に報告されていない国では超過死亡数がCOVID-19死報告件数よりも顕著に多く、数桁の差がみられる国もあった。
・全世界の約半数の国において、入手可能なデータでは超過死亡数の追跡が不可能であり、これらの国では統計モデルに頼らざるを得なかった。データが得られない国が多い地域の推定値については慎重な解釈が必要である。

(ケアネット 佐藤 亮)