全身療法が計画されている高齢者での高齢者機能評価の有用性(INTEGERATE試験)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/30

 

 オーストラリア・モナシュ大学Eastern Health Clinical SchoolのWee-Kheng Soo氏は、全身療法が計画されている高齢者での包括的な高齢者機能評価や老年医学専門家の介入の有無を比較する無作為化非盲検試験・INTEGERATE試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。老年医学的介入群ではQOLが有意に改善し、予期せぬ入院や有害事象による早期治療中止が減少すると報告した。

・対象:固形がんあるいはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)で、3ヵ月以内に化学療法、分子標的薬治療、免疫チェックポイント阻害薬療法が予定されている70歳以上の高齢者154例
・試験群:本人申告による質問票での回答と高齢者機能評価(CGA)を実施。栄養、身体機能などの改善に向けた標準的介入に加え、併存疾患のケアなど、アセスメントに基づく個別介入を実施(76例)
・対照群:通常ケア(78例)
・評価項目:
[主要評価項目] ELFI(Elderly Functional Index)スコアによるQOL評価
[副次評価項目]ヘルスケアサービスの利用状況、治療提供状況、機能、施設入所状況、気分、栄養状態、健康上の効用、生存状況

 主な結果は以下のとおり。

・追跡12週目でのELFIスコアは老年医学的介入群では71.4、通常ケア群で60.3(p=0.004)、追跡18週目でのELFIスコアはそれぞれ72.0と58.7(p=0.001)、追跡24週目ではそれぞれ73.1と64.6であった(p=0.037)。
・QOL評価での社会的機能、疾患による苦しみ、将来への不安の項目は追跡24週間中、一貫して老年医学的介入群は通常ケア群を上回っていた。
・老年医学的介入群では通常ケア群と比較して救急対応が39%減少、予期せぬ入院が41%減少、予期せぬ入院時の終日横臥状態が21%減少した。
・有害事象による早期治療中止率は老年医学的介入群が32.9%、通常ケア群が53.2%であった(p=0.01)。
 
 これらの結果から、Soo氏は「抗がん療法が予定されている70歳以上の高齢者では包括的な老年医学的アセスメントを受けるべきである」と述べた。

(ケアネット)