楽天のPCR検査キット、「大変危惧の念を抱いている」/日本医師会

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/24

 

 4月22日、日本医師会・釜萢 敏氏(常任理事)は、民間企業による新型コロナウイルスPCRキット販売に関して、「大変危惧の念を抱いている。(一般人が)自身で検体採取することはリスクが高いと考えざるを得ない」と強い懸念を示した。近日中に、問題点を具体的に示した専門家会議の意見が取りまとめられる見込み。

東京都ほか4県の法人向けにPCR検査キットを販売

 20日、楽天が「新型コロナウイルスPCR検査キット」を、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の法人向けに提供開始したことを発表した。同キットは、遺伝子検査キットを手掛けるジェネシスヘルスケアが、医療法人社団 創世会の協力を受けて開発したもの。定価は1キット1万4,900円(税込)で、100キットから購入できる。

 なお、同社プレスリリースでは、「導入する法人は、検査キットを従業員等に配布し、利用者は同封されている説明書に従って、各自で自宅にて検査試料を自己採取後、防漏性容器に収めます。容器を三重密封できる封筒に入れていただき、封をして目安として2時間以上経過してから、法人が指定する場所に設置する専用回収ボックスに入れていただきます。ジェネシスヘルスケアによる回収後、結果通知までにかかる日数は最短即日から約3日以内(土日祝除く)となります」と説明している。

自宅での検査実施は感染拡大リスクにつながる恐れ

 これについて、釜萢氏は「検体の採取は正確に行うことが必要。それが不適切であれば、結果も不正確になりかねない」として、「検査を実施した企業が、本キットの結果を見て出勤の可否などを判断すると、実際の陽性・陰性とは異なる結果が含まれることで、感染拡大を引き起こすなどの問題につながりかねない。結果を医療機関に持って来られても、対応は困難である」と懸念を表明した。また、検査に伴う危険の周知も十分でなく、結果の取り扱いにおける個人情報保護の問題も残されている。

 同氏は、同日開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議においても、同検査キットに対し問題意識が示されたことを説明した。実際に企業が同キットを購入し検査を実施した場合は、大きな混乱を来たす可能性がある。

 PCR検査がなかなか実施されない、希望しても受けられないことに対する策なのではないか、という意見に対し、「PCR検査は医師が必要と認めたケースにのみ実施することが大事で、国民全員に実施すべきものではない」との認識をあらためて強調し、「今後同様の事例が起きないよう、厚生労働省と協議を行い、国民の安全を確保する視点で対応していく」と述べた。

 なお、米国において、コロナウイルスについての自己検体採取キットが緊急使用認可されているが、「米国の検体採取自己キットは通常承認ではないものの、米国食品医薬品局(FDA)が緊急に使用を認可したものであり、政府機関が関与している」、「使用に当たっては医師の指示が必要」という2点が、今回わが国で発売されたキットと大きく異なる点だ。

(ケアネット 堀間 莉穂)