うつ症状の変化の評価、PHQ-9の閾値「6点」は妥当か/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/12

 

 患者健康質問票(Patient Health Questionnaire:PHQ)-9は、臨床現場で広く使用されている精神保健アウトカムの指標であり、PHQ-8およびPHQ-2はその短縮版である。英国国民保健サービス(NHS)のTalking Therapiesプログラムでは、治療中の患者における病態の変化の評価にPHQ-9の信頼性変動指数(reliable change index:RCI)の閾値6点(測定誤差を超える変化が起きたことを95%の信頼性で示す最小可検変化量[minimal detectable change:MDC][MDC95]に相当)を使用しているが、その確実性を裏付ける分析結果は報告されていないという。カナダ・マギル大学のYutong Wang氏らDEPRESsion Screening Data(DEPRESSD)PHQ Collaborationは、PHQ-9、PHQ-8、PHQ-2のMDCの評価を行い、年齢、性別、参加者の医療環境、大うつ病の有無によってMDCが異なるかを検証した。研究の成果は、BMJ誌2026年7月23日号に掲載された。

大うつ病性障害の個別参加者データのメタ解析

 研究グループは、2000年1月1日~2018年5月9日に発表された文献から収集した個別の参加者データを用いてメタ解析を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上、精神科以外の領域から募集され、精神保健医療を求める集団を募集していない論文(記述言語は問わない)とした。解析には、PHQ-9、PHQ-8、PHQ-2の実施から2週間以内に行われた半構造化または完全構造化インタビューに基づき、大うつ病性障害または大うつ病性エピソードに分類された参加者のデータセットを用いた。

 PHQ-9、PHQ-8、PHQ-2について、測定誤差を超える変化が生じたことを、95%、90%、67%の信頼性で示すMDC(それぞれMDC95、MDC90、MDC67)を設定し、変量効果メタ解析を用いて各研究の統合MDCを推算した。

PHQ-9のMDC95は5.72点

 PHQ-9、PHQ-8、PHQ-2の解析には、それぞれ4万2,548人(94研究)、4万2,592人(94研究)、4万4,085人(98研究)の参加者が含まれた。全体の平均年齢は49(SD 17)歳で、60%が女性であった。参加者の10%(研究ごとの範囲:1~57%)が大うつ病に分類された。

 PHQ-9のMDC95は5.72点(95%信頼区間[CI]:5.54~5.90、95%予測区間[PI]:4.00~7.44)であり、PHQ-8では5.51点(95%CI:5.33~5.68、95%PI:3.87~7.15)、PHQ-2では2.26点(95%CI:2.15~2.37、95%PI:1.20~3.32)であった。

 PHQ-9については、MDC95が最も高かったのは、入院医療施設からの参加者の6.48点(95%CI:6.05~6.92、95%PI:4.82~8.15)であった。また、PHQ-9のMDC95は、大うつ病を有する参加者の割合が10%増加するごとに0.40点(95%CI:0.25~0.55)上昇した。

 一方、性別および年齢とMDCとの関連性はごくわずかか、あるいはまったく認められなかった。PHQ-8およびPHQ-2についても、サブグループ解析およびメタ回帰分析の結果はPHQ-9と同様であった。

PHQ-9閾値6点は、うつ症状の変化を適切に評価可能

 これらの結果から、著者は「PHQ-9における6点の差は、うつ症状を呈する個別の患者における病態の変化の評価や、最小重要差の推定値を評価するための閾値として使用可能と考えられる」としている。

 また、「専門的な精神保健治療の環境下にある人びとに対しては、より高いPHQ-9閾値を設定することが、より適切となる可能性がある」「MDC67やMDC90の閾値では、変化が生じたことの信頼性が低くなる可能性がある」「予測区間の上限値を使用するなどの代替戦略は、確実性を高める一方で、変化を認識できない可能性が高くなる」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)