日本の大腸がん患者における悪液質の実態/日本癌治療学会

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 がん悪液質は、体重減少と食欲不振を主体とする多因子の代謝異常であり、患者のQOLや生存に影響する。日本の大腸がんにおける悪液質発症頻度と発症時期についての報告は少ない。静岡県立静岡がんセンター(現在は上尾中央総合病院)の柴田 昌幸氏らは、同施設と久留米大学病院で1次治療の化学療法を受けた進行大腸がん患者を対象に、悪液質の発症頻度、発症時期、予後への影響を調べる後ろ向き観察研究を実施。その結果を第57回日本癌治療学会学術集会(10月24~26日)で発表した。

 主要評価項目は、悪液質発症頻度、化学療法開始から悪液質発症までの期間、副次評価項目は悪液質と血液検査結果、全生存期間(OS)、副作用との関連。観察期間は最低1年、最高3年であった。悪液質の定義は、5%を超える体重減少、BMI 20kg/m2未満の患者では2%以上の体重減少とした。

 主な結果は以下のとおり。

・2010年2月~2016年8月に150例が登録された。
・患者の年齢中央値は65歳、男性60%、BMI中央値21.7kg/m2、PSは0~1が93.4%、Stage IVが99.3%であった。
・悪液質の発症は、化学療法開始から12週以内で43%、24週以内で50%、48週以内で65%と経時的に増加し、最終的には91%の患者が悪液質を発症した。
・化学療法開始12週時点でのOS中央値は、悪液質発症群で720日、非発症群では814日で、有意に悪液質発症群で短かった(p=0.0467)。24週時点では悪液質発症群720日、非発症群816日(p=0.0467)、48週時点では悪液質発症群670日、非発症群829日(p=0.184)と、統計学的に有意ではなかったものの、悪液質発症群で不良な傾向であった。
・ハザード比1以上の予後因子は、化学療法開始24週以内の悪液質の発症(1.12)、好中球リンパ球比(1.92)、CA19-9(1.13)、肝転移(1.41)、PS1以上(2.10)であった。
・悪液質発症の有無と副作用の関連をみると、化学療法開始48週時点の食欲低下の発現は悪液質発症群67.1%(Grade2以上25%)、非発症群50%(Grade2以上9.5%)、疲労感の発現は悪液質発症群61.8%(Grade2以上22.4%)、非発症群50%(Grade2以上8.1%)と、どちらも悪液質発症群で発現頻度、重症度ともに高かった。

 進行大腸がんにおける悪液質は、化学療法開始24週以内に約半数の患者に発症していた。また、悪液質発症群は予後不良の傾向にあった。さらに、化学療法の副作用である食欲低下および疲労の発現頻度、重症度ともに悪液質発症群で高かった。

(ケアネット 細田 雅之)

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