小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/16

 

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。

・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)
・試験群:
 デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群)
 デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)
・対照群:
 エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)
・評価項目:
[主要評価項目]OS
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性

 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。

 主な結果は以下のとおり。

・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。
・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)
・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)
・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。
・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。
・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。

 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

(ケアネット 細田 雅之)