脳卒中後の転倒予防、在宅個別化介入で転倒率低下/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/06

 

 脳卒中生存者の転倒率は、一般高齢者の転倒率と比べて2倍以上(73%vs.30%)と報告されており、多くの場合、転倒に伴う外傷や入院に至る。また、脳卒中経験者は転倒を繰り返す反復転倒者となるリスクが高く、転倒の影響は長期的な健康や幸福な生活を深刻に脅かす要因となるが、脳卒中後の転倒を予防する有効な介入法は確立されていない。オーストラリア・シドニー大学のLindy Clemson氏らは「FAST試験」において、在宅での個別化介入が、地域在住の脳卒中経験者の転倒を大幅に予防することを示した。研究の成果は、BMJ誌2026年3月24日号で報告された。

理学療法士と作業療法士が連携して介入

 FAST試験は、オーストラリアの3つの州で実施した無作為化第III相試験(オーストラリア国立保健医療研究評議会[NHMRC]の助成を受けた)。2019年8月~2023年12月に参加者を登録した。

 対象は、年齢50歳超、脳卒中発症から5年以内で、正規のリハビリテーションを終えて退院し、地域社会に復帰しており、補助具の有無を問わず平坦な地面を10m歩行できる患者とした。一方、中等度~重度の受容性失語症の患者、または過去1年間に転倒することなく1.4m/秒以上の歩行速度を示した患者は除外した。

 被験者を、介入群または対照群に無作為に割り付けた。介入群は、6ヵ月間にわたり、(1)習慣形成を目指した機能訓練(運動)、(2)自宅内での転倒の危険低減、(3)目標指向型の地域社会での移動能力の指導を受けた。対照群には通常ケアが提供された。介入は、理学療法士と作業療法士による2人1組のチームが、互いに連携して実施した。

 主要アウトカムは、12ヵ月の時点での年間平均転倒率であった。

転倒による骨折、入院も少ない

 370例を登録し、介入群に186例(平均年齢75[SD 10]歳、女性87例[47%]、脳卒中発症後の平均経過期間27[SD 17]ヵ月)、対照群に184例(76[SD 9]歳、82例[45%]、29[SD 17]ヵ月)を割り付けた。

 12ヵ月の時点での年間平均転倒率は、対照群が2.7(SD 5.5)回/年であったのに対し、介入群は1.8(SD 3.0)回/年と有意に低かった(発生率比:0.67、95%信頼区間[CI]:0.48~0.94、p=0.02)。これらの転倒の82%について、参加者は立ち上がりへの介助や医学的配慮は必要なかったと報告し、転倒による骨折(2%)および入院(4%)は少なかった。

 一方、この間に転倒した参加者の割合(介入群56%[104例]vs.対照群59%[109例]、絶対リスク減少率:0.03[95%CI:-0.07~0.13]、p=0.52)は、両群間に有意な差を認めなかった。

地域社会への参加、自己効力感なども改善

 12ヵ月の時点における地域社会への参加(Late Life Function and Disability Instrument disability limitation[0~100点]の平均群間差:3%、95%CI:1~6、p=0.02)、自己効力感(Likert尺度[0~6点]の平均群間差:0.6、95%CI:0.2~1.0、p=0.004)、移動能力(fast walking speedの平均群間差:0.13m/秒、95%CI:0.06~0.19、p<0.001、preferred walking speedの平均群間差:0.06m/秒、95%CI:0.02~0.10、p=0.02)、バランス(Step Testの平均群間差:0.06ステップ/秒、95%CI:0.01~0.12、p=0.03)は、いずれも対照群に比べ介入群で有意に良好だった。

 著者は、「自己効力感が対照群に比べ介入群で向上したことは、介入の実施における個別対応型のアプローチが、運動への継続的な参加を後押しした可能性を示唆する」「地域在住の脳卒中経験者を対象とし、自宅および地域社会で実施される介入について検証したことで、この介入法が容易に実践可能であることが示された」としている。

(医学ライター 菅野 守)