BRCA変異に対する予防的卵巣摘出は骨にどのような影響を及ぼすか

提供元:ケアネット

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公開日:2019/08/26

 

 BRCA遺伝子変異の保有者において、予防的卵巣摘出術は骨にどのような影響を及ぼすのか。カナダ・Women's College Research InstituteのJoanne Kotsopoulos氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、とくに手術時に閉経前だった女性において卵巣摘出術と骨密度低下は関連していることが示された。著者は、「この患者集団に対しては、骨の健康を改善するため定期的な骨密度評価およびホルモン療法などの管理戦略を定めるべきである」と述べている。JAMA Network Open誌2019年8月号掲載の報告。

 研究グループは、BRCA遺伝子変異の保有者に対して強く推奨される予防的両側卵管卵巣摘出術と骨密度の関連を評価する検討を行った。2000年1月~2013年5月に、カナダ・オンタリオ州トロントにあるUniversity Health Networkを介し、卵巣摘出術を受けたBRCA変異を有する患者を登録した。手術前に少なくとも1つの卵巣は完全で乳がん以外のがんの既往がないことを適格基準とし、手術の前後にDXA法で骨密度を測定した患者について解析した。データの解析は2018年12月~2019年1月に行った。

 主要評価項目は、ベースラインから追跡調査までの骨密度の年間変化率で、腰椎、大腿骨頸部および全股関節に分けて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースラインと手術後追跡調査の双方の骨密度測定値があったのは計95例で、平均追跡期間は22.0ヵ月であった。
・卵巣摘出術を受けた時の平均年齢は48.0歳であった。
・手術時に閉経前であった50例(53%)で、追跡調査においてベースラインからの骨密度低下が認められた。
・骨密度低下の年間変化率は、腰椎-3.45%(95%CI:-4.61~-2.29)、大腿骨頸部-2.85%(-3.79~-1.91)、全股関節-2.24%(-3.11~-1.38)であった。
・ホルモン療法の受療者(自己申告)は非受療者と比べ、腰椎(-2.00% vs.-4.69%、p=0.02)および全股関節(-1.38% vs.-3.21%、p=0.04)で、骨密度低下が有意に少なかった。
・手術時に閉経後であった45例(47%)では、腰椎(年間変化率:-0.82%、95%CI:-1.42~-0.23)および大腿骨頸部(-0.68%、-1.33~-0.04)で骨密度の有意な低下がみられたが、全股関節(-0.18%、-0.82~0.46)ではみられなかった。

(ケアネット)