燃え尽き症候群と妄想的観念との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2019/03/04

 

 これまで、燃え尽き症候群と妄想的観念との関連が疑われていた。しかし、この関連についてのシステマティックな研究は、ほとんど行われていなかった。スイス・ヌーシャテル大学のR. Bianchi氏らは、燃え尽き症候群およびそれに伴ううつ病と妄想的観念との関連を調査した。Occupational Medicine誌2019年2月7日号の報告。

 スイス人教師218人(女性の割合:58%、平均年齢:47歳)が本研究に参加した。燃え尽き症候群の評価には、Maslach Burnout Inventory-Educators Surveyの情緒的消耗感(emotional exhaustion:EE)および脱人格化(depersonalization:DP)サブスケールを用い、うつ症状はPHQ-9、妄想的観念はGreen et al. Paranoid Thought Scaleを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・燃え尽き症候群、うつ病、それらの属性は、妄想的観念と正の相関が認められた(0.42~0.55)。
・燃え尽き症候群、うつ病、妄想的観念が密接に関連していることが明らかとなった。
・低レベルの燃え尽き症候群、うつ病では、妄想的観念は低く、高レベルの燃え尽き症候群、うつ病は、妄想的観念が高かった。
・測定誤差を補正した場合、EEとうつ病およびDPとの相関係数は、それぞれ0.96、0.57であった。
・主成分分析より、EEとうつ病は分類不能であることが確認された。

 著者らは「燃え尽き症候群は、妄想的観念と関連していることが示唆された。興味深いことに、EEには、DPとの相関と同じぐらい強い妄想的観念との関連が認められた。さらに、燃え尽き症候群が、うつ病ではなくEEおよびDP症候群である場合には、EEとうつ病との相関係数は1に近くなるべきではなく、EEとうつ病との相関は、DPより強くなるべきではない。構成概念の独自性および症候群の統一性に関するこれらの基本的な要件は、満たされていなかった」としている。

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(鷹野 敦夫)