心房細動アブレーション後の肺静脈狭窄、ステント留置術でより良好な成績【Dr.河田pick up】

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/03

 

単施設における肺静脈狭窄に対するカテーテルインターベンションの成績を分析

 心房細動のアブレーションに伴う肺静脈狭窄(pulmonary vein stenosis:PVS)に対するカテーテルインターベンションは、無作為化試験のデータやガイドラインがないため、いまだに難しい領域である。ドイツ・ライプチヒ大学のSchoene K氏らが、PVSに対するカテーテルインターベンションでの治療について、単施設後ろ向き研究の結果を報告した。JACC Cardiovascular interventions誌オンライン版2018年8月27日号に掲載。

肺静脈狭窄の発生率は0.78%

 2004年1月から2017年9月までの間の、心房細動アブレーションに伴うPVS発生率は0.78%(87/1万1,103例)であった。

 PVSがあり、カテーテルインターベンションによる治療を受けた39例の患者のうち35例で何らかの症状があり、進行性の呼吸困難(79%)、肺動脈圧の上昇(33%)、喀血(26%)などが主要なものであった。39例の患者で84のカテーテルインターベンションの施行があり、うち経皮的バルーン血管形成術が68(81%)、ステント留置術が16(19%)であった。ステントの種類は薬剤溶出性ステントが3(19%)、ベアメタルステントが13(81%)であった。追跡期間中央値は6ヵ月(四分位範囲:3~55ヵ月)で、この間全体の再狭窄率はバルーン血管形成術で53%であったのに対して、ステント留置術では19%であった(p=0.007)。合併症の発生率はバルーン血管形成術で10%、ステント留置術で13%であった(p=NS)。

ステント留置術がバルーン形成術よりも良好な成績

 この研究から心房細動のアブレーションで引き起こされた肺静脈隔離術後のPVSにおいては、ステント留置術のほうがバルーン形成術よりも優れた成績であり、また、合併症の程度は同等であることが分かった。無作為化試験は行われていないが、今回のデータや入手可能なこれまでに発表された研究結果から、心房細動アブレーションに伴うPVSに対してはステント留置術が第一選択ではないかと考えられる。しかしながら、この研究は単施設の後ろ向き研究であり、無作為化試験やより症例数を増やした多施設での研究が必要である。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)