心房細動患者の認知症発症、降圧薬やワルファリンで2割減

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/14

 

 1万例以上の心房細動患者を対象とした研究で、サイアザイド/レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬併用などの降圧薬処方やワルファリン使用が、認知症発症率の低下と関連していたことをスウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らが報告した。International Journal of Cardiology誌オンライン版2018年7月21日号に掲載。

 対象は、スウェーデンのプライマリケアで心房細動と診断された45歳以上の患者1万2,096例(男性6,580例、女性5,516例)。心房細動発症前に認知症と診断されていた患者は除外した。性別、年齢、社会経済的要因および併存疾患を調整し、Cox回帰を用いてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均5.6年間の追跡期間(6万9,214人年)に750例(6.2%)が認知症を発症した。
・サイアザイド処方患者(HR:0.81、95%CI:0.66~0.99)およびワルファリン処方患者(HR:0.78、95%CI:0.66~0.92)は、処方されていない患者に比べて認知症リスクが低かった。
・異なる降圧薬(サイアザイド、β遮断薬、Ca拮抗薬、RAAS阻害薬)の1~4種類の使用は、認知症の減少と関連していた。1剤または2剤の処方患者では、降圧薬を処方されていない患者に比べてHRが0.80(95%CI:0.64~1.00)、3剤または4剤の処方患者のHRは0.63(95%CI:0.46~0.84)であった。
・RAAS阻害薬とサイアザイドの併用は、併用処方されていない患者に比べて有意に認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%CI:0.53~0.92)。

(ケアネット 金沢 浩子)