新規糖尿病治療薬imeglimin、日本での第III相試験の患者登録完了

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/02

 

 代謝性疾患の革新的な治療薬の研究開発に取り組んでいるフランスのバイオ医薬品企業POXEL SA(以下Poxel社)は、開発中の2型糖尿病治療薬imegliminの日本における第III相試験であるTIMES 1試験の患者登録が2018年7月3日に完了したことを発表した。本剤に関して、今年6月の第78回米国糖尿病学会(ADA)のサイエンスセッションで、前臨床モデルにおけるimeglimin独自の作用機序に関連した新規知見が発表されている。

 imegliminは、世界保健機関(WHO)によって新たな化合物クラスである「Glimins」として登録され、同クラスとして初めて臨床試験が実施されている。本剤は、ミトコンドリアの機能を改善するという独自のメカニズムを有しており、また、2型糖尿病治療において重要な役割を担う3つの器官(肝臓・筋肉・膵臓)において、グルコース濃度依存的なインスリン分泌の促進、インスリン抵抗性の改善および糖新生の抑制という作用を示し、血糖降下作用をもたらすことが期待されている。さらに本剤の作用機序は、糖尿病によって引き起こされる細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用を有する可能性も示唆されている。

 本剤の日本における第III相試験であるTIMES試験(Trials of Imeglimin for Efficacy and Safety)は、合計約1,100例の患者を対象とした3本のピボタル試験で構成されている。TIMES 1試験は、200例を超える日本人2型糖尿病患者を対象とした、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照比較、無作為化、単剤療法試験である。TIMES 2およびTIMES 3試験の登録も2018年下半期の完了が期待されており、Poxel社は、提携する大日本住友製薬と緊密に連携し、2020年に予定している日本での承認申請をサポートするという。

 2018年6月25日に開催された第78回米国糖尿病学会(ADA)のサイエンスセッションでは、前臨床モデルにおけるimeglimin独自の作用機序に関連した重要な新規知見が発表された(タイトル「Imeglimin Protects Ins-1 Cells and Human Islets Against High Glucose and High Fructose-induced Cell Death by Inhibiting the Mitochondrial PTP Opening」)。研究グループの一人であるフランス・グルノーブルアルプス大学のEric Fontaine氏は、このデータから、細胞死に関与するミトコンドリアのチャネルmPTPの開口を阻害する独自の作用機序によって、フルクトースおよびグルコースが誘発する細胞毒性によるβ細胞の細胞死に対して、imegliminが防御機能を有することが確認されたと述べている。

(ケアネット 金沢 浩子)