湿疹の重症度とメンタルヘルスの悪化の間には相関がある

提供元:ケアネット

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公開日:2018/06/21

 

 湿疹の重症度とメンタルヘルスとの間には有意な関連性があることが、東北大学災害科学国際研究所の國吉 保孝氏らによる研究で明らかになった。Allergology International誌2018年4月13日号に掲載。

 子供の湿疹とメンタルヘルスとの関連性は過小評価されている。そのため、著者らは、宮城県内で行われたToMMo Child Health Studyに参加した小学2年生から中学2年生9,954人のデータを用い、「子どもの強さと困難さアンケート」(SDQ)のスコアと湿疹の重症度との相関について調査を行った。

 湿疹の重症度はInternational Study of Asthma and Allergies in Childhood(ISAAC)調査票の持続性屈曲性湿疹および睡眠障害の存在に基づいて、「正常」、「軽度/中等度」、「重度」と定義された。SDQは、合計スコアおよび4つのSDQサブスケール(情緒、行為、多動・不注意、仲間関係)のスコア(それぞれ16以上、5以上、5以上、7以上、5以上の場合)により、「支援の必要がおおいにある」と定義された。

 主な結果は以下のとおり。

・湿疹の重症度が上がるほど、SDQの合計スコアが有意に高かった(all p≦0.004 for trend)。
・「SDQ合計スコア16以上」のオッズ比は、「軽度/中等度」の湿疹で1.51(95%CI:1.31~1.74)、「重度」の湿疹で2.63(95%CI:1.91~3.63)であった(p<0.001 for trend)。
・SDQの4つのサブスケール(情緒、行為、多動・不注意、仲間関係)と湿疹の重症度との関連性も、同様の傾向を示した(all p≦ 0.017 for trend)。

※「子どもの強さと困難さアンケート」(SDQ):
 3歳から16歳くらいまでの子供についての、多側面における行動上の問題に関するスクリーニング尺度。子育てSDQともいう。自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害、行為障害などの測定について信頼性が高く評価されている。

(ケアネット 生島 智樹)