吸入薬、効果発現の要は舌を下げること

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ケアネット

吸入薬、効果発現の要は舌を下げることのイメージ

 気管支喘息治療の根幹はステロイド薬を中心とした吸入薬であり、正しい吸入操作を行うことが必要不可欠である。今回、藤田保健衛生大学の堀口 高彦氏らは、吸入デバイスの操作だけでなく、目に見えない口腔内の状況、とくに舌に焦点を当て、望ましい舌の位置について検討を行った。その結果、舌を下げて薬剤の通り道をつくることで、より多くの薬剤が咽頭に到達し、気管方向に流入していく様子が確認できた。舌が流入経路の妨げにならないよう、舌と舌根をなるべく下げ、喉の奥を広げるよう患者に指導することが望ましい。今回の結果は、The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2018年5~6月号に掲載された。

 本研究では、28~41歳の健康な非喘息のボランティア6人(男女各3人)を対象とした試験が行われた。プラセボがセットされた粉末吸入器(DPI:Dry Powder Inhaler)とエアゾール吸入器(pMDI:pressurized Metered Dose Inhaler)を用い、吸入する際に意識して舌を下げない場合と、吸入口の下に舌を入れ、舌を下げて喉の奥を広げるようにした場合の、気管への薬剤流入量の違いを内視鏡を用いて撮影した。撮影した動画から、最も多くの粉末もしくはエアロゾルが流入した静止画を抽出し、DPIでは粉末の量を、pMDIではエアロゾルの濃度を画像解析で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・DPI使用例において、選択された画像全体で粉末が占める割合は、舌を下げたとき60.7%だったのに対し、舌を下げていないときは17.4%だった。
・DPI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くの粉末が咽頭領域に達した(p=0.0116)。
・pMDI使用例において、選択された画像でエアロゾル濃度を示す平均ピクセル強度は、舌を下げたとき255だったのに対し、舌を下げていないときは154だった。
・pMDI全使用例において、舌を下げたほうが有意に多くのエアロゾルが咽頭領域に達した(p=0.00165)。

外来で患者に説明する方法
(1)「ホー」と歌うつもりで舌を下げてもらう。
  舌と舌の根元を下げ、喉の奥の広がりを感じることができる。
(2)息を十分に吐いた後、大きく息を吸って、気流が喉の奥(咽頭の後壁)に当たるのを感じたか患者に確認する。感じない場合は、繰り返し練習してもらう。
(3)吸入練習器で音が鳴るか実践してもらう。

 患者がこの技法を習得できれば、気管内への薬の送達が改善され、吸入薬の有効性を最大限に高めることができる。医療者は、外から見えない口腔内の状況まで考慮する必要があると考える。

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(ケアネット 堀間 莉穂)

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