電気痙攣療法によるうつ病患者の脳体積への影響に関するメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/31

 

 デンマーク・Mental Health Centre GlostrupのK. Gbyl氏らは、脳構造に対する電気痙攣療法(ECT)の影響に関する文献レビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年4月29日号の報告。

 MRIを用いたECTで治療されたうつ病患者の縦断研究のシステマティック文献レビューおよび海馬体積の対するECTの影響に関するメタ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・32研究より、患者群467例、対照群285例が抽出された。
・MRI研究では、ECTと脳のダメージとの関連を示すエビデンスは見つからなかった。
・新しいMRIによる体積測定試験の1つを除き、特定の脳領域(多くの場合、海馬)におけるECT誘発性体積増加は、認められなかった。
・海馬体積に対するECTの影響に関するメタ解析では、プールされた効果量は、右海馬でg=0.39(95%CI:0.18~0.61)、左海馬でg=0.31(95%CI:0.09~0.53)であった。
・DTI研究では、前頭葉および側頭葉における白質経路の完全性におけるECT誘発性増加が示唆された。
・体積増加と治療効果との間の相関結果は、一貫していなかった。

 著者らは「MRI研究では、ECTが脳のダメージを引き起こすとの仮説を支持せず、むしろ治療により、前辺縁領域の体積増加を誘発する。今後、これらの体積増加、治療効果、認知的副作用との関連を研究すべきである」としている。

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(鷹野 敦夫)