PD-L1発現肺がん、ペムブロリズマブで長期生存を得る確率 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/03/15 ペムブロリズマブの非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対する効果は、一部の患者で非常に持続的である。ペムブロリズマブの長期生存の恩恵を受ける患者の割合はどの程度なのだろうか?このテーマに関する知見が、本年(2017年)のASCO-SITC(SITC:society of immune therapy of cancer)で発表された。 ペムブロリズマブは、KEYNOTE-001研究で進行NSCLCへの有望な効果を示し、KEYNOTE-010試験ではドセタキセルと比べ全生存期間(OS)の有意な延長を示した。しかし、ペムブロリズマブの長期生存の恩恵を受ける患者の割合については、典型的なパラメトリックな生存モデルでは解析できない。研究者らはそれに代わり、長期生存時間解析と呼ばれる確立された統計モデルを用いて、5年を超える長期生存を達成した患者の割合を「長期生存率」として直接推定している。 分析には、KEYNOTE-001およびKEYNOTE-010試験における既治療のPD-L1発現(腫瘍比率スコアTPS≧1%)患者からのデータが用いられた。KEYNOTE-001試験のデータはペムブロリズマブの初期の長期生存率の推定に、KEYNOTE-010試験のデータはその後の独立した因子の検証に用いられた。 主な結果は以下のとおり。 ・KEYNOTE-001試験(n=306)におけるペムブロリズマブ治療患者の推定長期生存率は25.4%(95%CI、15.2~33.3)であった。 ・KEYNOTE-010試験(n=690)では25.3%(95%CI、8.9~36.9)であった。 ・KEYNOTE-010試験におけるドセタキセル群(n=343)の推定長期生存率は3.2%(95%CI:0~17.4)であった。 2つの独立したデータセットでは、既治療のPD-L1発現NSCLCの患者の25%が、ペムブロリズマブ単剤療法から長期間の利益を得ることができると推定された。今後の長期的なフォローアップが、当知見の検証をさらに進めるであろう。 (ケアネット 細田 雅之) 参考KEYNOTE-001試験(Clinical Trials.gov) KEYNOTE-010試験(Clinical Trials.gov) 原著論文はこちら Hellmann MD, et al. J Clin Oncol.2017 (suppl 7S; abstract 77) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ペムブロリズマブのNSCLC1次治療、3パターンが国内承認/MSD 医療一般(2018/12/27) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet(2025/10/27) 冠動脈バイパス術後の新規AF発症、術後30日以後はリスク低い?/JAMA(2025/10/27) 低用量アスピリンが再発予防効果を認める大腸がんのタイプが明らかになった(解説:上村 直実氏)(2025/10/27) ctDNA陽性のMIBC患者、術後アテゾリズマブ投与でDFS・OS改善(IMvigor011)/ESMO2025(2025/10/27) ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、4年OS率98.4%(ALINA)/ESMO2025(2025/10/27) 胃がん初のFGFR2b阻害薬、長期追跡では治療効果が減弱(FORTITUDE-101)/ESMO2025(2025/10/27) 寛解後の抗精神病薬減量は認知機能改善に寄与するか(2025/10/27) monarchE試験のOS結果が発表/ESMO2025(2025/10/27) アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上(2025/10/27) [ あわせて読みたい ] がん診断時から発現、抗がん剤が効かない。シリーズがん悪液質(2)【Oncologyインタビュー】第6回(2019/04/25) 食べられない、食べても痩せる…シリーズがん悪液質(1)【Oncologyインタビュー】第5回(2019/04/18) 第107回 日本泌尿器科学会総会 会長インタビュー【Oncologyインタビュー】第4回(2019/04/11) Dr.林の笑劇的救急問答14<上巻>(2019/03/15) “医療者ではできない”がん患者支援…がん経験者コミュニティ「5years」【Oncologyインタビュー】第3回(2019/03/04) 膀胱がん、BCG投与後のPD-L1発現誘導【Oncologyインタビュー】第2回 (2019/02/18) 高齢者HER2陽性乳がんに、安全かつ有効な化学療法を…JCOG1607(HERB TEA)【Oncologyインタビュー】第1回(2019/02/15) 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15) Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 (2019/01/15)