PCI vs.CABG―左主冠動脈狭窄に対する効果と安全性

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/12/29

 

 左主冠動脈狭窄に対する望ましい再灌流療法の戦略は、いまだに結論が出ていない。現在のガイドラインにおいて、プロテクトされていない左主冠動脈の狭窄に対しては、冠動脈バイパス術(CABG)が望ましいとされている。Monash Cardiovascular Research Centre(MCRC)のNerlekar氏らオーストラリアと英国の研究グループが、最近のランダム化比較試験を踏まえて、プロテクトされていない左主冠動脈に対し、経皮的冠動脈形成術(PCI)がCABGと同様の安全性と効果を得られるかをメタ解析を用いて評価した。Circulation:Cardiovascular Intervention誌2016年11月29日号の掲載。

5研究の4,594例で全死亡、心筋梗塞、脳梗塞と再灌流療法を評価
 本研究では、プロテクトされていない左主冠動脈狭窄に対するPCIとCABGのランダム化比較試験について、デジタルおよび手動でのデータベース検索を実施した。検索には、MEDLINEおよびEMBASE、PubMedのデータベースを用い、期間は2000年1月1日~16年10月31日とした。その結果、本研究に関連する可能性がある3,887試験のうち、Syntaxなど5つの研究が本研究の基準と合致した。安全性の主要評価項目は、全死亡、心筋梗塞、脳梗塞および再灌流療法とした。メタ解析にはランダム効果モデルが用いられ、患者4,594例を対象とした。

主要評価項目に両群に有意差なし、再灌流療法の有効性ではPCI群が劣勢
 主要評価項目においては、PCI群とCABG群とでは有意差が認められなかった(オッズ比[OR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.79~1.17、p=0.73)。しかし、CABGと比較してPCIでは再灌流療法が行われる頻度が有意に高く(OR:1.85、95%CI:1.53~2.23、p<0.001)、有効性において劣勢であった(OR:1.36、95%CI:1.18~1.58、p<0.001)。

 全死亡率(OR:1.03、95%CI:0.78~1.35、p=0.61)および心筋梗塞(OR:1.46、95%CI:0.88~2.45、p=0.08)、脳梗塞(OR:0.88、95%CI:0.39~1.97、p=0.53)に関しては、両群で有意差は認められなかった。プロテクトされていない左主冠動脈に対する薬剤溶出性ステントを用いたPCIは、開心術によるリスクが低い患者においてはCABGと同様に安全な方法である。しかしながら、CABG群ではPCI群と比べて再灌流療法の施行が有意に少なかった。本研究における限界として筆者らは、フォローアップ期間が12ヵ月、36ヵ月、60ヵ月とばらつきがあること、また、再灌流療法の定義が試験によって異なることなどを挙げている。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)

関連コンテンツ

循環器内科 米国臨床留学記