ニボルマブ、小細胞肺がんに単独およびイピリムマブ併用で有望な効果:CheckMate-032

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は12月7日、治療歴を有する小細胞肺がん(SCLC)患者を対象に、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法およびニボルマブとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した第I/II相非盲検 CheckMate-032試験におけるコホートの最新結果を発表した。
追加の追跡調査において、確定奏効率(主要評価項目)は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で25%(95%CI:15~37)、ニボルマブ単剤群で11%(95%CI:6~19)であった。奏効は、プラチナ製剤感受性および治療歴にかかわらず認められた。併用群では、患者3例が完全奏効を達成した。推定2年生存率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で30%、ニボルマブ単剤群では17%であった。この解析において、新たな安全性シグナルは認められなかった。Grade3/4の治療に関連する投与中止率は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群で10%、ニボルマブ単剤群で4%であった。これらの結果は、ウィーンで開催された第17回世界肺癌学会議で発表された。
CheckMate-032試験は、進行期または転移性固形がんを対象に、ニボルマブ単剤療法またはニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性と有効性を異なる用量および投与スケジュールで評価した進行中の第I/II相非盲検臨床試験。本試験では、PD-L1発現および非発現患者の両方を組み入れた。主要評価項目は、RECIST 1.1基準に基づく治験担当医師の判定による確定奏効率(ORR)。副次的評価項目は、安全性、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)および奏効期間(DOR)であった。
CheckMate-032試験の小細胞肺がん(SCLC)コホートには、プラチナ製剤による化学療法の1次治療を含め、1種類以上の治療歴を有する進行性の患者217例が組み入れられた。この解析において、患者はニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに、またはニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kgを3週間ごとに4サイクル静脈内投与され、その後ニボルマブ3mg/kgが2週間ごとに投与された。すべての患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。ニボルマブ・イピリムマブ併用群では中央値21ヵ月、ニボルマブ単剤群で15.7ヵ月追跡調査された。ベースライン時に患者の73%がPD-L1 発現について評価可能であり、そのうち17%において、PD-L1発現レベルが1%以上であった。生存率および奏効率に関して報告されたデータに加え、ニボルマブ・イピリムマブ併用群21例、 ニボルマブ単剤群11例において、確定部分奏効で有効性が認められた。確定された病勢安定は、両群で同様であった(併用療法群25例、単剤療法群24例)。DORの中央値は、併用療法群で11.7ヵ月(95%信頼区間:4.0、NR)、単剤療法群では未達であった。併用療法群と単剤療法群では、それぞれ33%(15 例中5例)と27%(11例中3例)で、投与開始から18 ヵ月以上奏効が継続していた。
単剤療法群および併用療法群において、患者の10%以上で報告されたGrade3/4 の治療関連有害事象(AE)は、それぞれ疲労(1% vs.0%)、そう痒症(0% vs.2%)、下痢 (0% vs.5%)、悪心(0% vs.2%)、発疹(0% vs.5%)、甲状腺機能低下症(0% vs.2%)、斑状丘疹状皮疹(0% vs.3%)およびリパーゼ上昇(0% vs.8%)であった。Grade3/4の治療関連AEによる投与中止は、ニボルマブ単剤療法群の4%、併用療法群の10%で発生した。治療関連の新たな死亡は認められなかった。
ブリストル・マイヤーズ(米国)プレスリリースはこちら
(ケアネット 細田 雅之)
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